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今週のキーワード 真壁昭夫

FOMCに首根っこを掴まれた日本経済の命運
米国の金融緩和策がはらむ看過できない“副作用”

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第150回】 2010年11月9日
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 あるベテラン・ファンドマネジャーは、「今の日本経済の命運を握っているのは、米国のFOMC(連邦公開市場委員会)だ」と嘆いた。

 彼の言わんとするところは、米国のFOMCの金融政策が、わが国経済の先行きを大きく左右する為替市場の動向(円高)の動きを決めていることを指摘しているのだ。

 為替レートは、基本的に当該通貨間の相対的な量によって決まる。あり余るほど多額のドル紙幣が氾濫すると、それだけドルが売られやすくなる。ドルが売られると、必然的に円は強含みの展開になり、結果として円高が進展することになる。

 その米国の通貨供給量を決めているのが、他ならぬFOMCの金融政策なのである。

史上最高値圏を推移する円高
ドルの氾濫が招く新たなリスク

 国内の人口が減少局面に入り、少子高齢化が加速するわが国にとって、国内需要が短期間に大きく盛り上がることは期待できない。いきおい、景気回復は海外向け輸出の拡大に頼らざるを得ない。輸出がわが国経済の生命線といっても、過言ではない。

 問題は、足許において史上最高値圏で推移している円高だ。ここからさらに円高が進むと、わが国製品の競争力が低下して、頼みの輸出が伸び悩む可能性が高まる。それは、わが国経済にとって大きな痛手になることは間違いない。

 また中長期的に見ると、円高の進展は国内企業の海外移転を促進することになる。その場合には、大手企業に続いて中堅、中小企業までもが海外に出て行かざるを得なくなる。

 それが現実になると、国内は、まさに“もぬけの殻”状態になってしまうかもしれない。現在、日本経済はそれほど厳しい状況に追い込まれている。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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