日中関係、TPPへの対応など問題山積
菅内閣支持率は15ポイントも急落

 共同通信が行った11月6日、7日の電話世論調査によると、菅直人内閣の支持率は、前回(10月)の47.6%から32.7%へ、15ポイントも急落した。不支持率は36.6%から48.6%に上昇している。

 これは、(1)日中関係への対応、(2)北方領土をめぐる対ロ関係、(3)小沢一郎氏への弱腰、(4)企業・団体献金の受け入れへの転換、(5)TPPへの対応の迷走、(6)尖閣ビデオの流出、など多くの要因によるものだろう。それに、経済成長政策での類似性が際立つ(7)米国民主党の中間選挙での大敗も影響しているだろう。

 このままでは、年内にも内閣支持率20%台の危険水域突入が避けられそうもない。こうなることはわかっていたのに、なぜ菅首相は参院選後に辞職しなかったのか。それが残念である。

 現在、おそらく菅首相は、13日から横浜で開催されるAPEC首脳会議の成果にすべての望みを託しているのだろう。しかし、これも、さらに支持率を下落させる機会にもなりかねない。

APECで成果を残すために
菅首相が認識すべき3つのこと

 菅首相には、次の諸点をしっかり認識してこの会議に臨んでほしい。

(1)既に、外交ショーが首相の人気を高めたり、政権浮揚をもたらす時代ではないこと。

 昔は、首脳が一同に会する機会が少なく、さらに、日本開催という機会も珍しかった。しかし、1年に何回も首脳会議や首脳会談があり、日本開催も珍しくなくなった今日では、他国の首脳と会談したり、テレビに映ることは日常的。とてもそれだけでは政権浮揚にはつながらない。むしろ、具体的な成果は何か、そしてそれについて日本の首相はどんな役割を果たしたかに厳しい目が注がれる。

(2)首脳会談開催のために媚態を示したり卑屈に見えたりしないように努めてほしい。

 特に、中国の胡錦濤主席とロシアのメドベェージェフ大統領との会談は、こちらから卑屈になってまで頼み込むことはない。もしもそれが実現しなくても、国民はその事情をよく理解している。卑屈になって、その上会談が実現しなければ、それこそ世論から見離される。