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一生を賭ける仕事の見つけ方
【第3回】 2016年8月31日
著者・コラム紹介バックナンバー
斎藤祐馬

「オン・オフ」から「ハイ&ロー」へシフトしよう
――自分の人生を本気で生きる「覚悟」の磨き方

「何かに熱中したい」「自分にしかできないことを見つけたい」けれど、「何に『人生』を賭ければいいのか」がわからない。そんな全人類共通とも言える悩みに、15年にわたる苦労の果てに1つの答えを見つけた、起業家の登竜門「モーニングピッチ」発起人で知られる若きプロフェッショナル、斎藤祐馬氏。
著書『一生を賭ける仕事の見つけ方』で明らかにされた「自らのミッションを見つけ、それを仕事にする方法」の中でも異色のステップが、「マインド」、すなわち覚悟の磨き方だ。キーワードは、「Jカーブ」「熱量」、そして「ハイ&ロー」。それで誰でも強いマインドを持てるようになるという。いったいどういうことなのだろうか。

始まりはいつも〈谷〉から
――「Jカーブ」を乗り切る覚悟を持つ

 自分のミッションを歩む人生は、他の誰にも代替されない自分だけの人生になる。それが形になっていくのを見るのは、何にも代え難い喜びだが、その喜びを味わうには少なからぬ苦労も伴う。それを受け止め、ときには受け流し、乗り越えていく覚悟や心構えがなければ、自分のミッションを歩みつづけることは難しい。ミッション志向の人生は、その覚悟の上に成り立っている。

そのための覚悟や心構えを、この本では「マインド」と呼びたい。言葉を換えればメンタルタフネスのことだ。

 ベンチャービジネスの世界では、「Jカーブ」という言葉が知られている。立ち上げた事業がすぐに売り上げや利益につながるのはきわめて稀で、しばらくは耐え忍ぶ時期が続く。その時期を凌ぎ、浮上のきっかけをつかむことができたベンチャーだけが、その後大きく成長していくスタートラインに立てる。

「産みの苦しみ」という言葉があるように、新たな事業を始めるには、乗り越えるべき壁(というよりもむしろ谷)がある。それが、ベンチャーが生き残れるかどうかの最初の関門だ。

 自分のミッションを歩む人生は、新規事業を立ち上げることに似ている。少なくとも当人にとっては初めてのことに挑むわけだし、それが世の中に存在しないことであれば、社会全体にとってイノベーティブな新規事業に挑戦することになる。

 そう考えると、ミッションを新たに歩みはじめた人は、「Jカーブ」の落ち込みに直面すると思っておいたほうがいい。ミッションが最初からうまくいくケースはきわめて稀だ。

 その覚悟があれば、実際に困難に直面したときも、必要以上に慌てふためくことがない。言うなれば、苦しみを覚悟しておくことが、苦しみを乗り越える最初のカギとなる。それが、強い「マインド」を持つことにもつながっていく。

マインドを支える「熱量」は、どのようにして保つべきか?

一生を賭けるミッションを歩むための「覚悟」。そう聞くと、つい「自分には無理だ」と思ってしまうかもしれない。しかし、斎藤氏は、ミッションが自ずから育っていく、2つのマインドの磨き方を提唱する。

「熱量」というのは無尽蔵にこんこんと湧きつづけるわけではない。苦しい現実に直面してばかりだと、「熱量」もいつかは枯れ果ててしまう。「熱量」を保つには、暖炉の火を絶やさぬよう薪をくべるのと同じく、燃料を注ぎつづけなければならない。僕の場合、その1つの方法が、同じように「熱量」の高い人と会うことだ。

 その意味では、「ネットワーク」や「チーム」の存在が大きかった。ベンチャー支援事業を通じて、数多くの起業家たちと交流し、TVSに同じミッションを目指す仲間が増えていった。彼ら彼女らと「熱量」を分かちあえたことが、ときおり勢いの弱まりかけた僕の心の炎を再び大きくしてくれた

 それが、僕がミッションを歩みつづけることができた1つの理由だ。

「オン・オフ」ではなく「ハイ&ロー」で生きる

 近年は、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が注目を集めるようになっている。仕事の時間(ワーク)と仕事をしていない生活の時間(ライフ)をはっきり分け、両者をバランスさせる考え方だ。あるいは、仕事の「オン・オフ」をはっきり分ける考え方と言ってもいいかもしれない。

 ミッションを歩む人生には、仕事(ワーク)と生活・人生(ライフ)を分けるこの考えは、正直言って、あまり馴染まない。ミッション志向で自分の仕事を組み立てていけば、仕事(ワーク)と生活・人生(ライフ)は自然とつながってくる。自分の人生に「オフ」の時間など存在しない。24時間365日、すべてが自分の人生だ。その有限な時間をどれだけ有効に使えるかが、ミッションをどこまで育てられるかにかかってくる。

 とはいえ、四六時中気持ちを張り詰めていることなど、まず不可能だ。適度な休みやリフレッシュは欠かせない。だが、ミッション志向の人生を歩む人たちは決まって、表面的には仕事を離れているときでも、頭のどこかで常に自分のミッションに少なからず意識を向けている。経営者や研究者、創作活動に取り組むつくり手たちが、リフレッシュの最中にいいアイデアを思いつくのは、その最たる例だ。

 休んでいる間もスイッチを完全に「オフ」にするのではなく、仕事のときに高めていたテンションを少し低くする。「オン・オフ」ではなく「ハイ&ロー」で生きる。

 それが、ミッション志向の人生を歩み、ミッションを育てていくのに必要な心構えだ。

 そういう「マインド」で日々を過ごすことができれば、ミッションは自ずと育っていくことだろう。

マインドを高く保つための「3つの方法」を知りたい方は、『一生を賭ける仕事の見つけ方』第2章をぜひご覧ください!(構成:編集部 廣畑達也)

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斎藤祐馬[さいとう・ゆうま]

トーマツベンチャーサポート株式会社 事業統括本部長。公認会計士。
1983年生まれ。中学生のとき、脱サラして起業した父親が事業を軌道に乗せるのに苦労している姿を見て、「事業を立ち上げたばかりの起業家を支援する人がいればいいのに」と何度も思い、やがてベンチャーの「参謀」を志す。
2006年、4度目の挑戦で公認会計士試験に合格し、監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)入社。会計監査やIPO支援業務に携わるものの、スタートアップ期のベンチャーへの支援ができないものかと悩み、単独でベンチャー支援を始める。
2010年、トーマツ内で休眠していたトーマツベンチャーサポート株式会社(略称TVS)の再立ち上げに参画する。従来の公認会計士の枠には収まらない「ベンチャー支援」という活動に対して当初は理解を得られず、社内からは逆風も吹くが、一つひとつ壁を越え、社内外に仲間を増やし、大きく成長するに至った。現在は、「挑戦する人とともに未来をひらく」というビジョンのもと、国内外で奮闘する100名以上のメンバーとともに、ベンチャーだけではなく、大企業、海外企業、政府、自治体などとも協働し、自らのミッションを生きる日々を送っている。自らの思いを「一生を賭ける仕事」につなげたその経験には、大学、企業、自治体などから講演の依頼が絶えない。
2013年4月より、現在は「起業家の登竜門」と呼ばれるようになった「モーニングピッチ」を仲間とともにスタート。これまでに700を超えるベンチャーの登壇を実現したモーニングピッチは、大企業やベンチャーキャピタル、メディアとの出会いの場をベンチャーに提供する、日本有数のプラットフォームとなっている。


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