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7つの知性を磨く田坂塾

なぜ、一流のプロフェッショナルは「多重人格」なのか?

田坂広志 [田坂塾・塾長、多摩大学大学院教授]
【第8回】 2016年9月7日
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拙著、『知性を磨く』(光文社新書)では、21世紀には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という7つのレベルの知性を垂直統合した人材が、「21世紀の変革リーダー」として活躍することを述べた。
この第8回の講義では、「技術」に焦点を当て、拙著、『人は、誰もが「多重人格」 − 誰も語らなかった「才能開花の技法」』(光文社新書)において述べたテーマを取り上げよう。

「我々は、誰もが「多重人格」

 今回のテーマは、

なぜ、一流のプロフェッショナルは「多重人格」なのか?

 このテーマについて語ろう。

 世の中を見渡すならば、一流のプロフェッショナルは、それを自覚している、していないにかかわらず、例外なく「多重人格」であることに気がつくだろう。すなわち、一流のプロフェッショナルは、自分の中に「様々な人格」を持ち、仕事において置かれた状況や場面に応じて、「適切な人格」を前に出して対処している。

 しかし、こう述べると、「多重人格とは、精神の病のことではないのか?」と誤解をする読者がいると思われるので、一言、説明をしておこう。

 実は、「多重人格」という言葉は、決して「精神の病」を表す言葉ではない。正確に言えば、「多重人格障害」という言葉は、精神病理学などでは、「精神の病」を表す言葉であり、ある人物の中に「複数の人格」があり、一つの人格が表に出ているとき、別の人格の存在に気がつかない状態や、その別の人格が自分であることに気がつかない状態は、「多重人格障害」と呼ばれ、「精神の病」とされている。

 例えば、映画『レイジング・ケイン』では、そうした精神病理の人物を描いている。この主人公は、ある人格で殺人を犯した後、元の人格に戻ると、自分が殺人を犯したということを覚えていない。

 同様に、ダニエル・キイスのノンフィクション小説『24人のビリー・ミリガン』も、そうした人物を描いている。これも、一人の人物の中に「複数の人格」があり、そのうちの一つの人格が犯罪を行っても、他の人格のときには、犯罪人格のときに何を行ったかを全く記憶していないという「精神の病」である。

 しかし、ここで筆者が述べる「多重人格」とは、そうした「精神の病」のことではない。実は、我々健全な人間の中にも、必ず、「様々な人格」が存在しており、我々は、無意識的にも、意識的にも、それらの「複数の人格」を、生活や仕事の場面や状況に合わせて、使い分けている。

 例えば、世の中を見渡せば、会社では辣腕の課長、家に帰れば子煩悩な父親、実家に戻れば母親に甘える三男坊、といった異なった姿を示す人物は決して珍しくない。同様に、我々は、誰もが、自分の中に「複数の人格」を持っており、仕事のときと、私生活のときに、違った人格が出てくることは、むしろ、普通のことである。

 そして、世の中で、「仕事のできる人」と評される人は、自分の中に「様々な人格」があり、意識的、無意識的を問わず、置かれた状況や場面に、どの人格で処するかを、瞬間的に判断し、瞬時に人格の切り替えをしている。

 一つ、分かりやすい例を挙げよう。

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田坂広志 [田坂塾・塾長、多摩大学大学院教授]

1951年生まれ。74年、東京大学卒業、81年、同大学院修了。工学博士(原子力工学)。87年、米国シンクタンク・バテル記念研究所客員研究員。同時に、米国パシフィックノースウェスト国立研究所客員研究員。90年、日本総合研究所の設立に参画。戦略取締役を務め、現在、同研究所フェロー。2000年、多摩大学大学院教授に就任。社会起業家論を開講。同年、シンクタンク・ソフィアバンクを設立。代表に就任。2003年、社会起業家フォーラムを設立。代表に就任。2008年、ダボス会議を主催する世界経済フォーラムのグローバル・アジェンダ・カウンシルのメンバーに就任。2010年、4人のノーベル平和賞受賞者が名誉会員を務める世界賢人会議・ブダペストクラブの日本代表に就任。2011年、東日本大震災に伴い、内閣官房参与に就任。原発事故対策、原子力行政改革、エネルギー政策転換に取り組む。2012年、民主主義の進化をめざすデモクラシー2.0イニシアティブの運動を開始。代表発起人を務める。2013年、全国から3000名を超える経営者やリーダーが集まる場、「田坂塾」を開塾。「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という「七つのレベルの知性」を垂直統合した「スーパージェネラリスト」への成長をめざし、塾生とともに研鑽を続けている。著書は、知のパラダイム論、未来予測論、地球環境論、複雑系社会論、情報革命論、知識社会論、民主主義進化論、資本主義進化論、産業政策論、経営戦略論、マネジメント論、リーダーシップ論、戦略思考論、プロフェッショナル進化論、社会起業家論、社会的企業論、仕事論、人生論、詩的エッセイ、詩的寓話など、様々な分野において国内外で80冊余。(所感送付先:tasaka@hiroshitasaka.jp
◇主な著書 『知性を磨く - 「スーパージェネラリスト」の時代』(光文社) 2014
『人は、誰もが「多重人格」 - 誰も語らなかった「才能開花の技法」』(光文社)2015
『人間を磨く - 人間関係が好転する「こころの技法」』(光文社)2016

 


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多くの問題が山積する21世紀、目の前の現実を変革するために、我々は、思想、ビジョン、志、戦略、戦術、技術、人間力という「7つのレベルの知性」を、垂直統合して身につけ、磨いていかなければならない。知性を磨き、使命を知り、悔いのない人生を生きるために、いま、我々は何を為すべきか。現代の知の巨人が語る。

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