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China Report 中国は今

色褪せつつある“戦略的互恵関係”のなか
苦境に立たされる日本の省エネ・環境ビジネス

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第63回】 2010年11月19日
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11月に上海で開催された「環境保護技術・設備展」で日本パビリオンは最大区画を占めたが…… Photo by Konatsu Himeda

 「日本が中国に売り込めるのは、もはや省エネ・環境技術しか残されていない――。」

 こんな悲痛な弱音混じりのコメントが、匿名でネットに書き込まれる。多くの産業で中国が技術力を高める中、もはや日本が命運を託せるのは「省エネ・環境技術のみ」とも囁かれる、そんな時代になってしまったようだ。

 日本勢は中国でどう闘っているのか。

 筆者は上海で11月に開催された「環境保護技術・設備展」に出展する日本パビリオンを訪れた。110の企業・団体が参加する同展最大規模の区画だ。「最大」であるということは「日本の市場は縮小、中国に出ざるを得ない状況」という事態の裏返しでもある。参加企業の1社は「進出したところで、中国の技術に追い抜かれるのは時間の問題です」とため息をつく。

 また、ある企業は「すでに東北のある省に売り込みに行ったこともあるのですが…」と語るが、「まずは実績だ」と門前払いされたと言う。中国側の意図は、投資させて工場を造らせることにある。

 多くの関連企業が中国に目を向けていることに間違いはないが、ビジネスは貿易ベースでは展開せず、また、進出したところで早晩淘汰されてしまうという苦しい状況を呈している。

「5ヵ年計画」最終年を機に市場が拡大する
中国環境ビジネスのポイントは“BtoG”

 それでも中国には巨大な市場がある。

 2012年には、中国の省エネ・環境産業の市場規模が2兆8000億元(約37兆円)に達すると目されているうえ、「5ヵ年計画」という追い風もある。中国は第11次5ヵ年計画(06~10年)で、経済発展一辺倒から一転して、省エネ・環境の強制的実行を掲げてきたのだ。

 その第11次5カ年計画では、05年比でGDP当たりのエネルギー消費量を20%引き下げ、主な汚染物排出総量を10%減らすなどの公約が掲げられているが、総決算となる今年はその行方に注目が集まっている。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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