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長内 厚のエレキの深層

iPhone7拍子抜けで見えた、アップル依存大国・日本に迫る脅威

長内 厚 [早稲田大学商学学術院大学院経営管理研究科教授/早稲田大学台湾研究所研究員・同IT戦略研究所研究員/ハーバード大学GSAS客員研究員]
【第15回】 2016年9月9日
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発表されたiPhone 7は予想を上回る驚きを市場に与えられなかったようだ。今後、アップル依存の日本はどうなるのか Photo:The New York Times/Aflo

ついにおサイフケータイまで
驚くほど驚きのないiPhone 7

 iPhone 7が発表された。防水機能、イヤフォンジャックの廃止、カメラやホームボタンの性能向上、任天堂のマリオブラザーズのiPhone用ゲームの発表、iPhoneと同時に発表された新型Apple WatchでのポケモンGo対応、そして日本にとっては少なからずインパクトのあるおサイフケータイのFeliCaチップの搭載――。

 予想通りと言うべきか、予想以下と言うべきか、おそらく予想を上回る驚きは市場に与えられなかったようである。特にFeliCaチップの搭載は、日本でしか意味のない機能追加であるため、海外メディアの多くはその変化に言及すらしていない。

 発表前にロイターは「iPhone 7 launch lacks the usual buzz in China(中国ではいつものような騒ぎのないiPhone 7の発表)」という記事を報じていたが、発表後の各社のコメントも辛口が目立つ。

 ウォールストリートジャーナル紙は、電子版で「過去10年、驚くべき成長を遂げたアップルの興奮を再燃させるのに、今回の製品の進化は十分であるかどうか疑問が残る」という趣旨のコメントをしており、ニューヨークタイムズ紙は、会場でライブ解説をした記事の中で、「デザインは昨年と同じであるし、最も大きな変化はイヤフォンジャックがなくなったことか」「来年のiPhone発売10周年記念のために大きな変化をとっているのではないか」などのコメントを載せている。

 アメリカ3大ネットワークの1つCBSも、アップル株が0.6%しか上昇しなかったことを受けて、「Investors not wowed by Apple’s iPhone 7 launch(アップルのiPhone 7発表は投資家を熱狂させなかった)」という記事をネット版に掲載している。日本でも日経ビジネスオンラインが「大衆迎合に走るアップル、新型iPhoneに透ける焦り」と報じている。

 iPhoneがビジネスの大半を占めるアップルは、すでに直近の決算で減収減益となっており、いよいよiPhoneの成長が鈍化したのであれば、日本のスマートフォンメーカーにとってチャンス到来かと言えば、そうではない。

 日本の携帯電話会社各社が熱狂的にiPhoneを売りまくった結果、日本の携帯電話端末メーカー各社はすでにその多くがスマートフォンから撤退している。そうなると、スマートフォン王者のサムスン電子はすでにアップルより高いシェアを維持しているが、今後iPhoneの鈍化に付け入ることができるのは、Huawei、OPPO、vivoといった中国メーカーかもしれない。

 むしろ、iPhoneの鈍化は様々な意味で日本のエレクトロニクスメーカーにとって脅威でしかないだろう。

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長内 厚 [早稲田大学商学学術院大学院経営管理研究科教授/早稲田大学台湾研究所研究員・同IT戦略研究所研究員/ハーバード大学GSAS客員研究員]

京都大学大学院修了・博士(経済学)。1997年ソニー株式会社入社後、映像関連機器部門で商品企画、技術企画、事業本部長付商品戦略担当、ソニーユニバーシティ研究生などを歴任。その後、神戸大学経済経営研究所准教授を経て2011年より早稲田大学ビジネススクール准教授。2016年より現職。早稲田大学IT戦略研究所研究員・早稲田大学台湾研究所研究員を兼務。組織学会評議員(広報委員会担当)、ハウス食品グループ本社株式会社中央研究所顧問、(財)交流協会貿易経済部日台ビジネスアライアンス委員。(長内研究室ホームページ:www.f.waseda.jp/osanaia/

 


長内 厚のエレキの深層

グローバル競争や異業種参入が激化するなか、従来の日本型モノづくりに限界が見え始めたエレキ産業は、今まさに岐路に立たされている。同じエレキ企業であっても、ビジネスモデルの違いによって、経営面で大きな明暗が分かれるケースも見られる。日本のエレキ産業は新たな時代を生き延び、再び世界の頂点を目指すことができるのか。電機業界分析の第一人者である著者が、毎回旬のテーマを解説しながら、独自の視点から「エレキの深層」に迫る。

「長内 厚のエレキの深層」

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