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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

円高で日本株は本当に出遅れていたのか? 
「ドル建て」の日経平均はダウと一致して上昇していた
――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]
【第1回】 2010年11月24日
著者・コラム紹介バックナンバー
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わずか3週間で約10%もの急上昇!
1万円台を回復した日経平均株価の「なぜ」

 日経平均株価は11月18日に1万円台を回復した。わずか3週間で約10%もの急上昇である。つい先日まで、日本の株価は、欧米株価に比べてパフォーマンスが大きく出遅れていたはずだが、この短い期間にいったい何が起こったのだろうか。

 今回は、最近の日経平均株価の変化の背景にある、興味深い事実をご紹介すると共に、今後の日本株の行方を占ってみよう。

 この変化に関して、筆者から1つ考える材料を提示してみたい。それは、ドル建て日経平均株価が、NYダウ工業株とほとんどぴったり一致して動いているグラフである(右グラフ参照)。

 このグラフは、ギリシャ危機が悪化し始めた2010年5月3日を基準時点にして、ダウとドルベース・円ベースの日経平均株価の株価変化を、それぞれ3本で描き出したチャートである。

 ダウは8月末をボトムに上昇してきて、日経平均株価との間に大きな乖離が生じたように思えたが、不思議なことに、日経平均株価をドル建てで見たときには、「日本株は全く出遅れてはいなかった」ことになる。

 円ベースの日経平均株価は、夏頃から円高進行によって、ドルベースの日経平均株価に比べて、大きく下回るような値で推移するようになった。それが11月に入って、為替が一転して円安ドル高に修正されたことで、ダウ上昇と相まって、日経平均株価の急上昇になったと見られる。

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熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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