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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

観光立国を目指すならば東京の豊かな自然を
中国人観光客にもっとアピールしたほうがよい

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第29回】 2010年11月25日
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 紅葉が燃える秋だ。そんな秋の日曜日を利用して妻とともに奥多摩の御岳渓谷を散策した。

 留学生時代、日本で発行される中国語新聞に、「私とともに日本を旅しよう」というコラムを長く書いていた。自分で言うのもなんだが、在日中国人の中ではかなり好評を得たコラムだった。10数年後、ある会合で出会った、今や大学教授になったかつての中国人留学生夫婦から次のような話を聞いた。

 「学業やアルバイトに忙しかった留学生時代、このコラムを読んでいつかはこうした観光地を歩いてみたいという夢を見ていた。だからコラムを切り取ってスクラップブックにした。家の本棚に今でもそのスクラップブックを保管している。経済的余裕ができてから、莫さんが勧めていた観光地を歩いてきましたよ」

 それを聞いて私も嬉しかった。実は、そのコラムでは御岳山も取り上げていた。経済力があまりない留学生でも余暇を利用して楽しめる観光地を紹介しようという趣旨のコラムだったので、そんなにお金をかけなくても非日常性を楽しめるところをできるだけ取り上げた。

 都内にありながら山々ときれいな渓谷が見られる御岳山は私のお気入りの観光地だった。目に沁みる新緑の初春と、銀杏の葉の透き通るような黄金色と楓の燃えるような鮮烈な赤がハーモニーをなす秋にはよく訪れた。家族とともに散策したり、友人たちを案内したりする。

 特に、はじめて御岳山を旅した中国人の友人たちは、東京にこんなところがあるとは知らなかった、と驚く。私もちょっぴりと鼻を高くする。なんだかお国自慢でもしているようだ。その意味では、私も東京都民になってかなり年季が入ったといえるだろう。

 さて今回、御岳渓谷を回って改めて思ったのは、観光資源がまだ十分に活用されているとは言いきれないことだ。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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