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長内 厚のエレキの深層

再燃するバーチャルリアリティブームにまたもや立ちはだかる普及の壁

長内 厚 [早稲田大学商学学術院大学院経営管理研究科教授/早稲田大学台湾研究所研究員・同IT戦略研究所研究員/ハーバード大学GSAS客員研究員]
【第16回】 2016年9月29日
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バーチャルリアリティ熱再び
今と1990年代とは何が違うのか?

様々な製品やサービス分野において、VR(バーチャルリアリティ)のブームが再燃している。今回のブームは一過性のもので終わらないだろうか

 VR(バーチャルリアリティ/仮想現実)がちょっとしたブームだ。40代以上の読者であれば、1990年代にもバーチャルリアリティのブームがあったことを覚えているかもしれない。当時はVRと略すのではなく、「バーチャルリアリティ」と呼んでいたものだが、昨今のVRと当時のバーチャルリアリティでは製品やサービスにも違いがあるように思える。

 かつてのバーチャルリアリティは、仮想的に物事を体験できる製品・サービス全般をバーチャルリアリティと呼び、現在のVRはヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いて視覚的に目の前に仮想の3D空間をつくり出すものを指していることが多いようである。かつての試行錯誤の結果、現在のHMDという形に収まったということであろうか。

 あるいは、2Dの映像でできることはやり尽くしたということなのかもしれない。PS(プレイステーション)の登場以降、ゲームの世界は高度なポリゴン技術で現実の2D映像さながらのCGが描画できるようになった。テレビの世界では、アナログの標準画質のテレビがデジタルのハイビジョンになり、「大抵のテレビがどれもキレイ」な状態になった。だからこそ、製品間の差が小さくなり、コモディティ化が進んだとも言えるが……。

 いずれにしても、スマホの小さな画面も含めて2Dのディスプレイでできることはあらかたやり尽くしてしまったのではないだろうか。さらに高性能なCG、さらに高画質なテレビなど、従来の路線の技術にさらに磨きをかけるという方法もあるだろう。4Kテレビや8Kテレビはそうしたコンセプトだ。

 しかし、それに消費者はついてくるだろうか。ゲームもテレビも十分に高画質になっており、それ以上の高性能を消費者が望まないとしたら、そこにビジネスチャンスはないかもしれない。どんな製品にも「もうこれ以上の変革は望まない」というドミナント・デザインが存在することは、この連載でも第14回「SMAP解散の必然性をハーバード流イノベーション理論で読み解く」で述べた。

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長内 厚 [早稲田大学商学学術院大学院経営管理研究科教授/早稲田大学台湾研究所研究員・同IT戦略研究所研究員/ハーバード大学GSAS客員研究員]

京都大学大学院修了・博士(経済学)。1997年ソニー株式会社入社後、映像関連機器部門で商品企画、技術企画、事業本部長付商品戦略担当、ソニーユニバーシティ研究生などを歴任。その後、神戸大学経済経営研究所准教授を経て2011年より早稲田大学ビジネススクール准教授。2016年より現職。早稲田大学IT戦略研究所研究員・早稲田大学台湾研究所研究員を兼務。組織学会評議員(広報委員会担当)、ハウス食品グループ本社株式会社中央研究所顧問、(財)交流協会貿易経済部日台ビジネスアライアンス委員。(長内研究室ホームページ:www.f.waseda.jp/osanaia/

 


長内 厚のエレキの深層

グローバル競争や異業種参入が激化するなか、従来の日本型モノづくりに限界が見え始めたエレキ産業は、今まさに岐路に立たされている。同じエレキ企業であっても、ビジネスモデルの違いによって、経営面で大きな明暗が分かれるケースも見られる。日本のエレキ産業は新たな時代を生き延び、再び世界の頂点を目指すことができるのか。電機業界分析の第一人者である著者が、毎回旬のテーマを解説しながら、独自の視点から「エレキの深層」に迫る。

「長内 厚のエレキの深層」

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