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今後の空港整備のための財源と税制はどうあるべきか

赤井伸郎 [大阪大学大学院国際公共政策研究科教授]
2016年9月30日
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これまで日本の空港整備は、航空機燃料税を、その財源として行われてきた。今2016年度でその減免措置が期限を迎える。日本の空港が構築から維持管理に重心を移すなかで、空港整備・運営の財源はどうあるべきか。短期・長期の視点に分けて考えてみる。

 近年の日本の空は、羽田国際線発着枠の拡大、成田・関空のLCC定着化、日本全体へのインバウンドの拡大などで、大きく変わろうとしている。空港および周辺地域での受け入れ体制の強化は急務である。また、那覇空港の拡張工事が進み、福岡空港の拡張工事も始まろうとしている。

 空港整備は、この工事を除けば落ち着く方向であるが、一方で、これまでに整備してきた空港もメンテナンスの時期に来ており、管理コストは拡大する方向である。このように、日本の空の拡大を支える空港には、今後も、財源が必要である。

 この財源をどのような形でまかなっていくのが望ましいのか。本稿では、この点を、制度内での対応という意味での「短期的視点」と、抜本的制度改革を踏まえた「長期的視点」の両面から考えてみたい。

2011年以来減免されてきた
空港整備財源としての航空機燃料税

 これまで空港整備は、「航空機燃料税」を、その財源として行われてきた。名称からして間違われやすいが、一般の旅行者が支払う「燃油サーチャージ」とは別物で、航空機に積まれた燃料の量に応じて課される税金である。受益と負担の観点から、空港整備の受益者である航空機の所有者が支払うものだが、航空料金に含まれるという点で、間接的には航空機利用者も負担していると言える。

 もちろん、この財源だけでは空港整備に関するコストはまかなえないため、それ以外の一般財源や、航行援助施設利用料および着陸料などからの財源も用いられている。それらも含め、空港整備に関わる財源の出入りを明示した「空港整備勘定」という特別会計内の勘定において、その額が管理・整理されてきた。

 この航空機燃料税については、平成23(2011)年度の税制改正において、国内航空会社の国際競争力を強化する観点から、平成23年度からの3年間を「集中改革期間」として、軽減措置が講じられた。具体的には、消費課税の租税特別措置として、航空機燃料税の減免制度(平成23年4月1日から3年間、1キロリットル当たり1万8000円[現行:2万6000円]とする)が導入された。日本航空の再上場がなされたときでもあり、航空業界の混乱を安定化させる意義はあったと思われる。

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赤井伸郎 [大阪大学大学院国際公共政策研究科教授]

あかいのぶお/1968年大阪府生まれ。1998年大阪大学博士(経済学)学位取得 。神戸商科大学経済研究所助教授などを経て、2011年より大阪大学大学院国際公共政策研究科教授。専門は公共経済学、財政学、公共経営・組織論。

 


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