まだ天皇杯は残っているもののリーグ戦を終えたJリーグは、今季の総括と来季に向けての強化や展望が語られる時期になった。
そんな中、目を引いたのが、産経新聞がJリーグ年間総入場者数の前年比93万人減を報じた『イレブンミリオン失敗「努力不足」 前年より93万人減』という記事だ。これはJ1、J2リーグ戦、ナビスコカップ、アジアチャンピオンズリーグを含めたものだが、93万人というのは大変な数字である。この記事を見た人は、Jリーグ人気は凋落の一途をたどっていると思うだろう。
だが、それは正確ではない。今季は昨季と比べ試合数が大幅に減っているのだ。減ったのはJ2のリーグ戦。昨季のJ2は18チーム3回総当たりで459試合が行われたが、今季は1チーム増えたこともあって2回総当たりになり、342試合になった。117試合減ったわけだ。
100試合以上減れば、数十万単位で観客が減るのは当然のこと。減少傾向にあることは確かだが実際は微減であり、93万という数字を鵜呑みにすることはできない。大幅減であることを印象づけJリーグの危機を煽ろうという意図さえ感じられる記事である。
ホームゲーム1試合平均4000人以上
浦和レッズの観客動員数が激減
それよりも筆者が驚いたのは、浦和レッズの観客動員が激減したことである。06年からリーグ戦の1試合平均で4万5000人を超え、最盛期の08年には4万7000人以上の観客動員を記録した。それが今季は4万人を割る3万9941人までに減ってしまった。昨年比ではトータル(ホームゲーム17試合)で7万2500人あまり、1試合平均では4000人以上減ってしまったことになる。
熱狂的なサポーターを数多く抱え、ダントツの観客動員力を誇ってきたのが浦和レッズである。17年前、日本に新たに生まれたプロサッカー・Jリーグにサポーターという概念を植えつけたクラブともいえる。そのレッズの観客動員に陰りが見え始めたのだ。これはどうしたことだろうか。