ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
ぼくらの仮説が世界をつくる
【第15回】 2016年10月25日
著者・コラム紹介バックナンバー
佐渡島庸平 [株式会社コルク代表取締役]

【森岡毅×佐渡島庸平】ユニバーサル・スタジオ・ジャパンをV字回復させたスゴ腕マーケターと「マーケティング」について語り合った【第2回】

1
nextpage

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンをV字回復させたマーケター・森岡毅氏とコルクの佐渡島庸平氏(twitter:@sadycork)の対談、第2回。

勘やセンスに頼りがちなエンターテイメントの世界で、マーケティングをいかに行えばいいのか。二人の対話は続きます。

(文:佐藤智、写真:塩谷淳) →第1回から読む

勝ちすぎることは成功ではない

森岡 エンターテインメント業をしていると、すぐに「確率の罠」にはまると私は思っています。

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)では、年間に30個も40個も新しいプロジェクトが打ち出されます。そのすべてに対して、会社が危機的状況にならないように、ある程度手堅く成功確率を高めていかなければいけない。現在、その成功率は98パーセントまで高まってきました。しかし、本当は7割~8割くらい成功して、2割くらいは失敗したほうがいいんですよ。

佐渡島 どうしてですか?

森岡 基本的には、手堅く遂行するために、考えられる方法を全部駆使して成功させるじゃないですか。しかし「完璧に当たる」ということは「完璧な成功」ではないと思うんです。つまり、勝ちすぎることは成功ではない。

 なぜ手堅くなるかというと、無意識のうちに、我々の中に「失敗をしたくない」というバイアスが働いているからなんです。だから、プロジェクトが必要以上にコンサバになっている。必然的に、当たるものばかりになっていく。逆に、2割の冒険を許したほうが、もしかしてとてつもないホームランが生まれるかもしれない。そちらの方が、会社をもっと大きくする確率が高いわけです。成功にばかり振り切れるというのは、確率論的にはいいことではないんです。

『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』(森岡毅・今西 聖貴/KADOKAWA)

佐渡島 失敗も必要だ、と。

森岡 バイアスというのは、過去の成功パターンにどんどん縛られていくことです。自分の頭の中がどんどん囚われていってしまう。そこから抜け出すには、自分のしがらみをぶっ壊すような思考法を準備しなくてはいけないんです。あとは、意図的に冒険しなくちゃいけない。手堅く、手堅く、カチコチの小さい石橋を作っていては、だんだんと消費者に飽きられていってしまうと思います。

 そのため、大成功じゃなくて、本当は成功確率80パーセントで、20パーセントは「意味のある失敗をしました」というのが本当の成功だと思うんです。そういう意味では、成功し続けながらも、なにか新しいものを出し続けていくということが、リーディングカンパニーであり続ける難しさなのではないかと思うんです。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
まいにち小鍋

まいにち小鍋

小田真規子 著

定価(税込):本体1,100円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
簡単で安くて、ヘルシー。ポッカポカの湯気で、すぐにホッコリ幸せ。おひとりさまから共働きのご夫婦までとっても便利な、毎日食べても全然飽きない1〜2人前の小鍋レシピ集!「定番鍋」にひと手間かけた「激うま鍋」。元気回復やダイエットに効く「薬膳鍋」や、晩酌を楽しみたい方に嬉しい「おつまみ鍋」など盛り沢山!

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


佐渡島庸平 [株式会社コルク代表取締役]

1979年生まれ。中学時代を南アフリカ共和国で過ごし、灘高校に進学。2002年に東京大学文学部を卒業後、講談社に入社し、モーニング編集部で井上雄彦「バガボンド」、安野モヨコ「さくらん」のサブ担当を務める。03年に立ち上げた三田紀房「ドラゴン桜」は600万部のセールスを記録。小山宙哉『宇宙兄弟』も累計1600万部超のメガヒットに育て上げ、TVアニメ、映画実写化を実現する。伊坂幸太郎「モダンタイムス」、平野啓一郎「空白を満たしなさい」など小説連載も担当。12年10月、講談社を退社し、作家エージェント会社、コルクを創業。


ぼくらの仮説が世界をつくる

1600万部超 『宇宙兄弟』、600万部超 『ドラゴン桜』を大ヒットに育て上げた編集者であり、作家エージェント会社「コルク」を起業した、 いま注目度ナンバーワンの編集者・経営者が仕事論を初めて語る!

「ぼくらの仮説が世界をつくる」

⇒バックナンバー一覧