永田町で解散風が吹き始めている。その時期は、ズバリ「年末・年始総選挙」だ。解散は首相が持つ「伝家の宝刀」。安倍晋三首相は悲願である憲法改正を実現するため、「安倍1強」をさらに盤石なものとするのに、このタイミングでの解散がもっとも勝算が高いと踏んでいるという。安倍首相の野望のシナリオをジャーナリストの鈴木哲夫氏が解説する。
永田町を駆け巡る
年末・年始解散総選挙の噂
前回の衆議院総選挙の投票日は2014年12月14日だった。
衆議院の任期は4年。ということは、遅くとも2018年12月までには衆院選が行われるはずだが、任期満了をもって衆院選が行われることは基本的にはない。ときの首相が「もっとも勝てそうだ」と思うタイミングで解散総選挙となるからだ。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏によれば、ここに来て永田町では「年末・年始解散総選挙」説が浮上しているという。
「まず、解散の時期が迫ってきているという雰囲気がにわかに強まったのは、9月17日に都内で開かれた公明党の全国大会での山口那津男代表の挨拶でした。代表の挨拶の後半は選挙に関するものが多くを占め、『衆院選は“常在戦場”の心構えだが、断じて勝ち抜くために本日よりは全議員が一層の緊張感を持たなければならない』と、また、井上義久幹事長も『(衆院は)年末以降は(4年の任期の)折り返しになるので、“常在戦場”の構えをより強くしなければならない』と発言しました」
「与党・公明党のトップや幹部から何度も『常在戦場』という言葉が繰り出されたことで、永田町では一気に解散が現実味を帯びて語られるようになったのです」
任期半ばを待たずして、なぜ解散なのか。その理由の1つには公明党の事情がある。
「来年夏には都議選があります。公明党の最大の支持基盤である創価学会は東京都に本拠地を構え、かつては東京都が宗教団体の許認可を握っていたとう名残りもあり、都議選を非常に重視しています。都議選が実施される時は、半年前から国政選挙並みの体制で組織を挙げて動きます。公明党はこれと重なる形で衆院総選挙を戦うのは何としても避けたい。12月から年明けの解散総選挙であれば都議選に影響を与えないため、都合が良いのです」