北方領土問題がプーチン来日で動く可能性は十分にあるG20の前にウラジオストクで行った日ロ首脳会談で、今年12月のプーチン大統領の来日が決まった Photo:首相官邸

北方領土問題の解決に
決意を見せる安倍首相

 あまり報道されていないが、安倍首相が北方領土問題の解決に向けて並々ならぬ決意を見せている。

 ここ1週間の外交ウィークで、G20の前に、日ロ首脳会談を2日にウラジオストクで行った。大きな成果として、今年12月のプーチン大統領の来日が決まった。それは安倍首相の地元山口で、である。これは、G20での日中首脳会談の前に対中国戦略としてかなり有効だった。

 もともと、安倍首相の悲願は、憲法改正と北方領土返還だ。ともに、祖父である岸信介以来の悲願である。大きな目標であり、国のあり方の基本を問うという政治家らしいものだ。

 憲法改正については、衆参ともに憲法改正勢力は一応3分の2以上になった。もっとも、憲法のどこを改正するかは今後の話であり、それが決まらない以上、国民投票もありえない。まだ道半ばであるが、少しずつ前に進んでいる。

 憲法改正事項では、維新が提示した地方分権、教育無償化、憲法裁判所が面白い。民進党の代表戦が今行われているが、その3人の候補はそれらの項目に政策としては前向きだ。それが憲法改正項目に直結するかどうかはわからないが、項目として提示されたとき、憲法改正マターでないというのは言いにくい。

 憲法は国の基本を定める。政権が変わっても行われるべき政策を定めるものであり、政府に義務を課すものだ。例えば、教育無償化を憲法で定めたならば、たとえ財政事情が苦しくとも教育無償化を無視することはできなくなる。要するに、教育無償化を最優先させるような制度的な裏付けが憲法なのだ。

60年間ほとんど進展してない北方領土問題
ロシアと続いていた「異常な状態」

 一方、北方領土はここ60年間、ほとんど進展してない。北方領土は、戦後のどさくさから、ソ連に違法占拠されたままだ。今から60年前の1956年日ソ共同宣言で法的な戦争状態を一応終結したが、まだ平和条約は締結できていない。これは、誰が考えても「異常な状態」だ。