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三谷流構造的やわらか発想法

生命の絶滅は確率1/2のコイントスゲーム

科学書に学ぶ生き残り戦略(1)

三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]
【第150講】 2016年10月27日
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生命の本質は絶滅にあり

 本連載ではこれまで多くのSFと科学ネタを扱ってきました。そこには、ヒトやモノゴトの本質が示されていました。

 本講で紹介する『大絶滅(Extinction)』(1996)は、異端の古生物学者デイヴィッド M. ラウプ(David M. Raup)によって書かれた、地球生物大(量)絶滅の歴史であり、その原因探究の試み(*1)です。

 現在、地球生物学上、5回の大絶滅が知られています。1オルドビス紀末(4.4億年前)、2デボン紀末(3.6億年前)、3ペルム紀末(2.5億年)、4三畳紀末(2.1億年前)、5白亜紀末(6500万年前)の大絶滅です。

 最新の白亜紀末ものが、いわゆる「恐竜の絶滅(*2)」と同じものですが、このときよりももっと深刻な絶滅を、生物は繰り返してきているのです。

 ペルム紀末のものでは生物種の9割以上が絶滅しました。個体レベルで言えば全生命体の99%以上が滅んだという、徹底的な絶滅です。

 こういった大絶滅の繰り返しの中で、この地球に歴史上存在した生物種のほとんど全て(99.9%以上)は、既に絶滅してしまっています

 統計的に見れば、生物種の本質のひとつは「絶滅(いつか必ず滅びる)」であるとも言えるでしょう。

確率1/2のコイントスゲームをカジノでやったら?

 書中でラウプ博士が示す、「問い」があります。

もし、あなたがカジノでコイントスゲームをやったら、どちらが勝つでしょう? 表裏の確率は完全に50対50です。タネも仕掛けも根性も運も所場代もありません。

 この条件でお金をかけた勝負をしたとして、果たして胴元(カジノ)が勝つか、プレイヤー(あなた)が勝つか、それとも引き分けか。どれでしょう?

三谷作成

 まず少し時間を取って、考えてみてください。トンチでも何でもなく、明確な理由があり、勝敗があります。そしてそれは生物という存在の、そして自然というものの本質でもあるのです。

*1 『大絶滅』の副題は「遺伝子が悪いのか? 運が悪いのか?」である。
*2 鳥類がその唯一の生き残りと考えられている。

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三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]

1964年大阪生まれ、福井育ち。小1のとき読書と読みかじりを人に教える快感に目覚め、駿台予備校では教えることの技術に衝撃を受ける。東京大学 理学部物理学科卒業後19年半、BCG、アクセンチュアで戦略コンサルタントとして働く。2003年から06年までアクセンチュア 戦略グループ統括。途中、INSEADでMBA修了。
2006年から教育の世界に転じ、社会人教育と同時に、子どもたち・親たち・教員向けの授業や講演に全国を飛び回る。「決める力」「発想力」と「生きる力」をテーマに毎年8000人以上と接している。現在K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 主任教授(MBAプログラム)の他に、早稲田大学ビジネススクール、グロービス経営大学院、女子栄養大学で客員教授、放課後NPO アフタースクール及びNPO法人 3keys 理事を務める。永平寺ふるさと大使。
著書多数。『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)は啓文堂書店2012ビジネス書大賞、『経営戦略全史』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はダイヤモンドHBRベスト経営書2013第1位、ビジネス書大賞2014大賞、『ビジネスモデル全史』(同)はHBRベスト経営書2014第1位となった。
HPは www.mitani3.com

 

 


三谷流構造的やわらか発想法

発想法ってなんのために存在するのでしょう? ヒトと違うアイデアや答えを出すためです。統計的に有意な戦略なんて、定義により無価値ですし、統計的に正しい発想法なんてあるわけがありません。発想に「普遍性」や「高確率」を求めるなんてそもそも矛盾しているのです。発想法も、然り。これまでと違うものを生み出すには、新しい発想法がいま求められているのです。

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