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アップルも瞠目!2010年世界で一番売れたアプリ
「アングリーバード」に学ぶ、時代の空気の読み方

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第127回】 2010年12月29日
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 主にiPhoneアプリとして提供されている、じつに他愛ないスマートフォン向けゲーム「アングリーバード」が今、世界中でとてつもない人気を集めている。クリスマスの日だけ見ても、ダウンロード数は100万件に達し、約1年前のリリースからの累計はすでに5000万件を数える。アップルは、今年一番売れたアプリとして、このアングリーバードを挙げている。

 今年のハロウィーンでは、アングリーバードのキャラクターを模した手製のぬいぐるみを着て街を練り歩く人々の様子が、ニューヨークやロサンゼルスから伝えられたりもした。ゲームが誕生して1周年の12月初めにも同様の騒ぎがあり、欧米では今やゲームの域を超えて社会現象にまでなっていると言っていい。

 「ポップカルチャーを書き換えた」「カルト的キャラクターの誕生」「ノキアに取って替わるフィンランドの星」(作成元はフィンランドのゲームメーカー)などと、メディアもこぞってアングリーバードを持ち上げている。

 さて、このアングリーバードとは、一体どんなゲームなのか。

 舞台は、草むらが広がるどこかの国。家に帰ってきた赤い鳥は、巣から卵がなくなっているのを発見する。草原を見ると、緑色の豚たちがその卵を手に入れてホクホク顔だ。怒った鳥たちは、パチンコ玉のように飛んでいき豚への報復をはじめる。だが豚たちも牙城を築き、必死の防衛を試みる。

 ゲームは、パチンコ玉が命中して木や石で豚が作った要塞を破壊するたびにステップアップしていく仕組みだ。レベルが高くなればなるほど、要塞も頑丈になり、パチンコ玉を放物線上にのせて、うまく打たなければならなくなる。プレーヤーは、タッチスクリーン上でゴムを目いっぱい伸ばし、狙いを定めて怒った赤い鳥を打ち放す。

 だが、このゲーム、これまでの人気コンピュータゲームと比べてあまりに単純。凝った3Dで描かれているわけでもなし、攻略のための戦術を特に練らなければならないわけでもない。今流行りのソーシャルゲームのように共同作業や参加が必要なわけでもない。というのに、なぜこれだけの人気を集めるのか。人々がなぜ中毒症状まで起こしているのか。ゲーム関係者も首をひねっている。

 そうした中で、説得力があるのは次のような分析だ。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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