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人手不足の時代に本気で考える アルバイト人材育成
【第16回】 2016年11月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
中原淳 [東京大学 大学総合教育研究センター 准教授]

「知人紹介」による採用を増やすには?
スタッフが「人にすすめたくなる職場」をつくる

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(スタッフ)「店長、どう考えても人が足りませんよ。どうにかしてください!」
(店長)「うん…そうだ!君の友達でいい人を誰か紹介してよ」
(スタッフ)「ええ、はい…(ちょっとウチの店は友達にはオススメできないな)」
(店長)「…あれ、どうかしたの?」

アルバイト1人あたりの採用コストが上がるなか、友人紹介などによる「人づて採用」は願ってもない機会だ。実際、人手に困っていない職場では、優秀なアルバイトが優秀な人材を連れてくるという好循環が生まれている。「人にすすめたくなる職場」はどうすればつくれるのだろうか?最新刊『アルバイト・パート[採用・育成]入門』から一部を紹介する。

優秀な店長ほど
「人づて採用」をベースにしている

中原淳(なかはら・じゅん)
東京大学 大学総合教育研究センター 准教授/東京大学大学院 学際情報学府(兼任)/大阪大学博士(人間科学)
1975年北海道旭川生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、米国マサチューセッツ工科大学客員研究員などを経て、2006年より現職。
「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発、リーダーシップ開発について研究している。専門は経営学習論・人的資源開発論。
著書・編著に『アルバイト・パート[採用・育成]入門』『企業内人材育成入門』『研修開発入門』(以上ダイヤモンド社)など多数。

パーソルグループ
日本最大級の総合人材サービスグループ。本書においては、同社のシンクタンク・コンサルティング機能を担う株式会社パーソル総合研究所が、中原淳氏とともに大企業7社8ブランド・約2万5000人に対する大規模調査と各種分析・示唆の抽出を実施している

アルバイトの確保が難しくなっているいま、有効な採用方法として注目すべきなのが人づて採用です。要するに、アルバイトのスタッフを介して、その友人・知人を紹介してもらい、新たな人材として雇用するというやり方です。

近年、正社員の領域でも、リファラル・リクルーティングを促進しようとする動きが見られます。これは、従来型のいわゆる縁故採用をよりブラッシュアップした制度で、人材間のネットワークを戦略的に活用しながら人材を獲得することを目的にしています。

 「それならウチもやっているよ」という方も多くいらっしゃることと思いますし、紹介してくれたスタッフにインセンティブ報酬を支払うようにしている企業もあります。

今回の調査でも、うまく回っている職場ではやはり「人づて採用」を取り入れていることが再確認できました。

インセンティブ制度のような企業レベルの取り組みまでいかないにしても、一店長としてやれることはたくさんあります。

たとえばある飲食店の店長Eさんは、アルバイトでシフトに入っている学生の友人たちが来店した際、特別サービスとして一品多く提供するようにしているそうです。また、その友人たちの前で、そのアルバイト学生を「彼は優秀だから、本当に助かっている」と褒めたりするといいます。これを続けていたところ、その友人たちが次々とEさんの店に応募してくれるようになり、人手不足が解消されたといいます。これもまた人づて採用を促進するうえで効果的な取り組みだと言えるでしょう。

コスト削減・安定供給・定着率アップ…
メリットはさまざま

人づて採用には数々のメリットがあります。まず、何よりもお金がかからないということ。募集広告を出す必要がありません。

また、人材を安定的に確保できるということも魅力です。某ファストフードのある店舗では、近隣にある大学の特定のサークルメンバーが代々アルバイトとして働いています。そのサークルに新入生として加入すると、先輩から「君もあの店で働かないか?」と誘われるので、学生が卒業してしまっても人手不足に困ることはないといいます。これは人づて採用の理想的なかたちではないでしょうか。

また、見落としがちなのは、紹介される側の視点です。すでに働いている知人を通じて、あらかじめ職場の状況をいろいろとつかめますし、信頼する人が紹介してくれた職場とあれば、安心して応募することができます。下図の「職場の決め手要因」のデータでも、「友人・知人にすすめられたから」(7位)は「社会的な評判がよいから」(13位)よりも上位に来ています。つまり、応募者はブランドイメージ以上に、直接的な口コミ情報を重視しているということです。

■アルバイトの職場選択における決定要因

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中原淳(なかはら・じゅん) [東京大学 大学総合教育研究センター 准教授]

東京大学大学院 学際情報学府(兼任)。東京大学教養学部 学際情報科学科(兼任)。大阪大学博士(人間科学)。
1975年北海道旭川生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員等を経て、2006年より現職。
「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発、リーダーシップ開発について研究している。専門は経営学習論(Management Learning)。
著書に、『会社の中はジレンマだらけ』(光文社新書)、『アクティブトランジション』(三省堂)、『職場学習論』『経営学習論』(以上、東京大学出版会)、『企業内人材育成入門』『研修開発入門』『ダイアローグ 対話する組織』(以上、ダイヤモンド社)など多数。


人手不足の時代に本気で考える アルバイト人材育成

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