「新聞? テレビ? マスコミ? もう終わってる業界でしょ」
就職活動中の学生がこう言いました。かつて「憧れの的」だったマスコミですが、今、学生からはそっぽを向かれ始めています。
その理由をたずねると、「ネットの台頭で、既存のビジネスモデルはすでに崩壊しているし、このままいけば、1990年代後半の金融業界の二の舞で、再編淘汰は避けられませんから」。
まさに学生の言うとおり。しかし、長くマスメディアの王者の座に君臨してきた二大メディア自身の危機意識は薄く、いまだ新たな収益モデルを構築できずにいます。
今回の特集では、広告収入と販売収入が激減し、構造不況業種に転落してしまった二大メディアが、新たな「食い扶ち」をめぐって果てなき消耗戦を繰り広げている現状を徹底取材しました。結論から言うと、残念ながらそこに勝者はいません。
まずは新聞。ネット事業に活路を見出したい新聞各社ですが、これまでのネットビジネスはことごとく失敗に終わり、紙の新聞に回帰する動きすら出てきています。
最後の光明が、ネット上で無料提供してきた記事に課金する「有料電子版」なのですが、ここにもまた高い壁が立ちはだかっていました。
経営体力の劣る瀬戸際メディアで始まった「内部崩壊」の実態もレポートします。社員による「横領」事件、幹部のモラルハザードなどが横行し、社員の士気低下は目を覆わんばかりです。
一方、テレビ業界では、聖域なき大リストラの嵐が吹き荒れています。日本テレビが給与の大幅カットに踏み切りましたが、それは、テレビ局の収益源である放送収入がさらに減少すると睨んでいるからにほかなりません。そこで本誌は、キー局4社の放送収入を基に、5年後の営業利益のシミュレーションも行ないました。
このように混乱を極める二大メディアを尻目に、異業種からの新規参入組が相次いでいます。その代表格は、通信キャリアとIT企業。UstreamやYouTube の台頭で、動画の出口がテレビに限られた時代は終わり告げ、異種格闘技戦の時代に突入しました。
近い将来、日本で革命を起こしそうなのが、インターネットテレビです。実のところ、メディア業界にはまだまだビジネスチャンスが転がっているのに、テレビ局や新聞社がそのことに気付いていないだけなのかもしれません。
また、本邦初公開となる「キー局の看板35番組の制作費減少率ランキング」や、大物芸能人のギャラに至るまで、必読データも満載です。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 山口圭介)