コスモエネルギーグループは2024年12月、日本初のSAF量産プラントを完成。25年度から年間3万キロリットルの供給を目指し、パートナー企業と航空業界の脱炭素化を推進する。国産廃食用油を活用し、持続可能な燃料供給モデルを構築する取り組みに注目が集まる。

山本 哲氏(左)
日揮ホールディングス SAF事業チームプログラムマネージャー
西村勇毅氏(右)
航空業界の脱炭素化に向けた取り組みが加速する中、コスモエネルギーグループは、2024年12月に、日本初となるSAF(持続可能な航空燃料)量産プラントを完成させた。大阪・堺製油所に立地するプラントで、25年度から本格的な供給を開始する予定だ。原料は国産の廃食用油で、年間約3万キロリットルの大規模生産を目指す。
「SAFは、従来の化石燃料に比べてCO2排出量を84%削減できる、環境に優しい航空燃料です。他の脱炭素化手段である電動化や水素燃料の実用化にはまだ時間がかかるため、短中期的に見れば、SAFは航空業界にとって最も現実的な脱炭素ソリューションとなります」。こう説明するのは、コスモ石油次世代プロジェクト推進部プロジェクト推進グループ長の山本哲氏だ。
国際航空分野のCO2削減目標は厳しく、50年までに排出を実質ゼロとする目標を掲げている。ネットゼロ達成のためには従来の燃料からの切り替えを急ぐ必要があり、SAFの普及促進が不可欠になっているのだ。