
MIXI 代表取締役社長 上級執行役員 CEO
1975年生まれ。2008年ミクシィ(現MIXI)に入社。ゲーム事業部で「サンシャイン牧場」など多くのコミュニケーションゲームの運用コンサルティングを担当。その後モンスターストライクプロジェクトを立ち上げる。14年11月執行役員、15年6月取締役、18年6月代表取締役社長執行役員、23年12月より現職。
SNSの「mixi」や、ロングヒットが続くスマートフォンゲーム「モンスターストライク(モンスト)」など、豊かなコミュニケーションをもたらす多彩なサービスを次々と提供しているMIXI。「脱モンスト依存」を目指して、新規事業を開拓し、グローバル戦略を展開する同社の現状と今後の展望に迫った。
――SNS「mixi」のサービス開始から20年がたった2024年12月、新たに「mixi2」をリリースされました。「つながった人、つながりたい人との関係を深められること」を目指した新しいSNSだそうですが、なぜこのサービスを提供しようと思ったのでしょうか。
木村 昨今のSNSの使われ方に大きな疑問を感じたからです。
われわれMIXIは「豊かなコミュニケーションを広げ、世界を幸せな驚きで包む。」をパーパスに掲げています。
今から21年前に「mixi」を始めたときも、その後「モンスト」やスポーツ関連にビジネスの幅を広げたときも、常に「心もつなぐコミュニケーション」を念頭に置きながら事業を展開してきました。
しかし、昨今のSNSは、「心もつなぐ」どころか、むしろ人の心を逆なでするような使われ方をしているケースが少なくありません。インプレッション(投稿が表示される回数)を上げるため、悪意のある改ざんや印象操作などを行った投稿が、目に余るほどはびこっています。
これは、われわれが長く追求し続けてきたSNS本来の姿ではありません。
人と人がいがみ合ったり、互いに足を引っ張り合ったりするのではなく、温かいコミュニケーションが生まれるような場をつくりたい。そんなコンセプトの下、「心もつながる」新しいSNSとして「mixi2」をリリースしました。
サービス開始からまだ数カ月ですが、ユーザー数は着実に伸びています。
「過去の失敗」に学び 再び「モンスト」を世界へ
――SNSから始まったMIXIですが、今、売上高の大きな割合を占めているのは「モンスト」です。しかも、相変わらず好調が続いているようですね。
木村 おかげさまで13年10月の提供開始以来、累計売上高は1.3兆円以上、累計利用者数は6300万人以上に達しました(24年10月末時点)。
MIXIには、ゲームをはじめとする「デジタルエンターテインメント」、プロスポーツチームの経営や公営競技ビジネスを推進する「スポーツ」、SNSなど人々の生活に密着したサービスを提供する「ライフスタイル」の主に三つの事業セグメントがありますが、売上高の約7割は、「モンスト」を中心とするデジタルエンターテインメントが稼いでいます。
すでに国内のモバイルゲーム市場で大きなシェアを握っていますが、まだまだ伸びる余地があると思っているので、今後も積極的にメディアミックスを展開していく予定です。
直近では、ほぼ月1回のペースで、日本の名だたるIP(漫画・アニメなどの著作権物)とコラボレートしたゲーム内イベントを展開しています。
海外のゲームファンも、日本のIPには非常に強い関心を持っているので、われわれと国内IPホルダーの“連合軍”によって、グローバル市場を積極的に開拓したいと考えています。