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運用ビジネスに「見識」を求めることは無理なのだろうか

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第163回】 2011年1月12日
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飛び込み営業

 12月某日、筆者が東京都千代田区内に借りている小さなオフィスに、大手証券会社の若いセールスマンがやってきた。彼が所属する支店は、筆者のオフィスから徒歩で20分くらいの場所にある。

 今年度の新人だというセールスマンは、名刺を交換して直ぐに、「社長、株式の売買はいかがでしょうか」とアプローチしてきた。正攻法で株式からとは、なかなか良い心掛けだ。

 しかし、筆者は別の証券会社に勤めているので、勤務先以外の証券会社に取引口座を開いて株式を売買することは、通称「地場出し」と呼ばれる禁止行為になる。

 「事情があって、株式は売買できない」と答えた。

 すると、彼は、「投資信託ならいかがですか」と言葉をつないだ。

 本当は、投資信託も買う気はないのだが、何をどう勧めるのか興味深いので、少々申し訳なく思いつつも、セールストークを聞かせて貰うことにした。

 どんなものを勧めているのかと訪ねたら、「分配金が大きいものがお勧めです」と話し始めた。「この商品は、毎月250円の分配を出している」という。

 毎月、250円ということは年間3千円の分配金になる。基本的に投資信託は一口1万円だから、基準価額(一口当たりの価格)が値上がりしているとしても、相当の高利回りだ。筆者が「毎月250円というのは凄いね」というと、「ここのところ、この水準を安定的に維持していて、大変に好評です」と青年は胸を張った。

 「しかし、社長、この商品は全くリスクなしという訳ではありません」。

 リスクについて、自分から説明するとはいい心掛けだと再び感心しかけて続きを聞くと、「お客様には、主に二つのリスクを取っていただきます。一つは、米国の債券の信用リスクです。もう一つは、ブラジルレアルの為替リスクを取っていただきます」という。

 商品としては、米国のハイイールド債(信用リスクの大きな高利回りの債券)に投資して、さらに為替リスクを高金利の通貨であるブラジルレアルにスイッチしたものであることが分かった。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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