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安東泰志の真・金融立国論

小池都知事の「国際金融都市No.1」構想に3つの課題

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第75回】 2016年11月18日
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11月11日、小池都知事は、定例記者会見において、「国際金融都市・東京の実現に向けた検討体制について」と題して、かねてからの公約であった、「東京をアジアナンバー1の国際金融都市としての地位を取り戻す」構想について、その概要を開示した。筆者は東京都顧問として小池知事を支え、本構想の下準備をしてきた立場にある。そこで本稿では、既に東京都として開示している資料の範囲内で、筆者なりの問題意識を述べることとする。ただし、本稿は、あくまでも筆者の個人的見解であり、東京都としての公式見解ではないことをあらかじめお断りしておく。

小池知事が会見で述べた
重要なメッセージ

小池都知事は、かねてからの公約であった、「東京をアジアナンバー1の国際金融都市としての地位を取り戻す」構想について、その概要を開示した

 本論に入る前に、11日の小池都知事の記者会見内容についておさらいしておきたい。詳細に報じたメディアは少ないが、極めて重要なメッセージが含まれているからだ。

 小池知事は、冒頭で、「東京がアジア・ナンバーワンの国際金融都市の地位を取り戻すことは、私が目指す<スマートシティ>の最重要パーツ。このための取り組みに、いよいよ着手する」と、公約の実現に向けて強い意欲を示した。その上で、以下のように続けた。

 「金融産業の振興は、ロンドン・ニューヨークの例を待つまでもなく、都市の魅力や競争力を維持する上でも、また、2020年までにGDP600兆円を目指すとしている政府の成長戦略を実現する上でも避けて通れない課題であると思う」

 そして、日本の金融業のGDP比はわずか5%程度であり、12%(出所:TheCityUK)となっている英国に大きく見劣りすること、そして、その比率を5%から10%に引き上げることができるならば、単純計算でGDPを約30兆円内外押し上げることになると述べた。実際、自民党は2012年の総合政策集で、「金融業のGDP比率を10%台に押し上げる」としており、小池都知事の主張は、安倍政権のGDP600兆円構想を後押しするものになろう。

 小池知事は、さらに、「金融の活性化については、これまで何度も手がけられてきたが、必ずしも十分な効果が上がっているとは言い難いと考えている」とした。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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