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ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。
【第38回】 2016年11月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
原田まりる [作家・コラムニスト・哲学ナビゲーター]

恋愛ドラマからエログロ系まで。哲学の巨人たちが書いた小説

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『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』より

哲学者が書いた書籍の中には小難し議論を淡々と綴った学術書だけではなく、「小説」も存在する。デンマークの哲学者・キルケゴールは「誘惑者の日記」という恋愛小説を書き、フランスの哲学者・サルトルは「嘔吐」という人間の実存を扱った小説を書き、この作品はノーベル文学賞にもノミネートされている。日本の純文学を支えた文豪たちも哲学者の書籍に影響を受けたとされており哲学と日本の純文学は、じつは根深い関係にあるのだ。

太宰治のペンネームはハイデガーの思想「ダーザイン」が元ネタ?

 「人間失格」などで知られる文豪・太宰治のペンネームの「だざい」はハイデガーの思想にある「ダーザイン」から取ったものではないか?という一説がある。

 尚、「ダーザイン」とは「いま自分がココに在るということを自覚している意識」という意味である。

 太宰治らしい内省的な世界観と実存主哲学者たちの思想は深くリンクしているのかもしれない。

ニーチェに影響を受けた三島由紀夫

 また「金閣寺」などで知られる三島由紀夫の作品の中にも実存主義哲学者の名前が多く登場する。

 中でも三島由紀夫はニーチェに大きな影響を受けたようで、ニーチェは幼少期父を無くし、祖母・母・妹・伯母など女性に囲まれて過ごしたのだが、三島由紀夫も同様に女性に囲まれて過ごしている。

 三島由紀夫はおばあちゃんっ子であり、おばあちゃんの言いつけを守りながら女友達と幼少期を過ごしている。

 三島由紀夫の作品の「煙草」の中でも、家族のいいつけを守る真面目な少年が主人公として描かれており、三島由紀夫の少年期の苦悩から生み出された作品とも読みとることが出来る。(家族に隠れて煙草を吸ってしまった真面目な少年の葛藤・怯えが描かれている)

 己の弱さに酔うだけでなく「強くあらなければならない」という三島由紀夫の思想はニーチェの「超人」思想に似た積極的なニヒリズムを感じることができる。

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原田まりる(はらだ・まりる) [作家・コラムニスト・哲学ナビゲーター]

1985年 京都府生まれ。哲学の道の側で育ち高校生時、 哲学書に出会い感銘を受ける。京都女子大学中退。 著書に、「私の体を鞭打つ言葉」(サンマーク出版)がある。


ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。

17歳の女子高生・児嶋アリサはアルバイトの帰り道、「哲学の道」で哲学者・ニーチェと出会います。哲学のことを何も知らないアリサでしたが、その日をさかいに不思議なことが起こり始めます。キルケゴール、サルトル、ショーペンハウアー、ハイデガーなど、哲学の偉人たちが続々と現代的風貌となって京都に現れ、アリサに、“哲学する“とは何か、を教えていきます。本連載では、話題の小説の中身を試読版としてご紹介します。

 

「ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。」

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