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本川裕の社会実情データ・エッセイ

米大統領選、クリントンはむしろ負け戦を“善戦”した

本川 裕 [統計データ分析家]
【第14回】 2016年11月23日
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Photo:Reuters/AFLO

 米国大統領選の結果、予想に反して、クリントン候補を破ってトランプ候補が勝利した。

 統計データ分析家を自称する私として無関心ではいられないのは、大統領選の投票動向についてである。投票動向のデータについては、日本の選挙情報でも同じであるが、選挙管理当局(日本では選挙管理委員会)が発表する投票結果は、地域別に集計されることはあっても、それ以外の男女別などの属性別のデータは無記名という選挙の性格からそもそも得られない。そこでマスコミが行う出口調査の結果が重要な投票動向データとなる。米国ではCNNの選挙サイトで公表される出口調査の結果が権威をもっており、米国だけでなく世界中でしばしば利用される。

 ここでは、報道、学者、有識者、テレビ出演者など様々な論者が、つまみ食い的に引用するこのCNNの出口調査の結果について、やや系統的に整理したグラフを作成し、これに基づいて、選挙結果の要因を分析してみよう。

 分析に当たっては、選挙戦をめぐる様々な情報をデータで裏づけるという通常のアプローチではなく、極力、それらの情報にひきずられずに、データそのものが語っていることだけに耳を傾けるという従来から私がモットーとしている態度で臨んだ。そうでなければ、米国政治の研究者や大統領選を取材して様々な情報を収集している報道機関とは別個にデータを分析する意味がないのである。

男性vs女性、白人VS非白人
都市vs地方の投票傾向は不変

 図1では、今回の投票結果を帯グラフであらわすとともに、結果の数値の後の[  ]の中に前回大統領選の民主・共和両候補への投票率からの変化を記載した。今回の属性別の両候補への投票割合だけでなく、前回からの変化がどの点で著しいかを見ることによって、前回、民主党候補が勝利したのに対して、今回は共和党候補が勝利した理由をうかがうことができる。

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本川 裕 [統計データ分析家]

統計データ分析家。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科兼任講師。1951年生まれ。東京大学農学部農業経済学科卒業。同大学院単位取得済修了。(財)国民経済研究協会研究部長、常務理事を歴任。現在、アルファ社会科学(株)主席研究員。インターネット上で「社会実情データ図録」サイトを主宰。

 


本川裕の社会実情データ・エッセイ

本連載では、統計データの動きを独自に整理、グラフ化することによって、意外な社会の動きやわが国の状況を追って行きたいと考えている。もっとも堅苦しいものではなく、趣味的な個人の嗜好も含めたざっくばらんなものとしたい。体系的な思想というよりエッセイ形式で人間習俗(モラル)を観察したモラリストの伝統に連なれればと考え、連載タイトルにエッセイという用語を含めた。

 

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