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ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

「選挙予測の神様」をも欺いた米国的“本音と建前”文化

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第63回】 2016年11月23日
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統計学を駆使した
「選挙予報の神様」の敗北

 本連載「黒い心理学」では、ビジネスパーソンを蝕む「心のダークサイド」がいかにブラックな職場をつくり上げていくか、心理学の研究をベースに解説している。

ギャラップなどの世論調査会社をしのぐ正確な当選者予測をするとして「選挙予測の神様」と言われてきたアメリカの統計学者、ネイト・シルバー氏も、トランプ氏の当選は外してしまった。敗因はどこにあったのだろうか? Photo:AP/AFLO

 11月9日、アメリカでは大統領選が行われ、大接戦の末、ドナルド・トランプ氏が当選した。クリントン寄りだった米国大手メディアは、大きな驚きをもってこの結果を伝えた。

 ヒラリー・クリントン氏は大統領選挙中にメディア戦略に対し、膨大な選挙資金をつぎ込んでいたことが伝えられていたため、大手メディアの報道はバイアスがかかっていた可能性がある。このことは多くのニュースでも報道されているのでご存じの読者も多いと思う。

 だが、筆者を含む一部の専門家は少し別の驚きを持って、この結果を受け止めた。「選挙予測の神様も外した!」という驚きである。

 その「神様」とは、アメリカの統計学者、ネイト・シルバー氏だ。

 シカゴ大学で経済学を学んだ彼は、4年間のコンサルティング業務に就いた後、24歳のときに、メジャーリーグの投手の成績を予測する統計アルゴリズム「PETOCA」を開発した。

 これは第二次大戦後からのメジャーリーグの膨大なデータを基に、サイバーメトリクスという手法を使って、現在の投手の将来のパフォーマンスを予測するアルゴリズムだ。その後、投手だけでなく野手のパフォーマンスの予測アルゴリズムも開発している。その予測の正確さは評判となり、彼はスポーツ専門チャンネル「ESPN」専属のアナリストとして多くのコラムや本を執筆し、有名人になった。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

この連載の趣旨は、ビジネスマンのあなたが陥っている「ブラック」な状況から抜け出すための「心」を獲得するために、必要な知識と考え方を紹介することにある。社員を疲弊させる企業が台頭する日本社会では、「勝てない組織」が増えていく。実はその背景には、マクロ面から見た場合の制度的な理由がある一方、日本人の持つ国民性や心理もまた、重要な要因として存在する。そうした深いリサーチが、これまで企業社会の中でなされてきただろうか。本連載では、毎回世間で流行っているモノ、コト、現象、ニュースなどを題材として取り上げ、筆者が研究する「ニューロビジネス」的な思考をベースに、主に心理学や脳科学の視点から、その課題を論じていく。あなたは組織の「黒い心理学」を、解き明かすことができるか。

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