未訳の最新ビジネス洋書のエッセンスが詰まった書評レポートを、PDFファイルで閲覧・ダウンロード提供する本連載。今回取り上げるのは、アメリカでも問題になっている新入社員の離職率低下ノウハウ満載の一冊『オン・ボーディング』です。(書評レポート提供/エグゼクティブブックサマリー

新入社員をスムーズに組織になじませ
“一人前”にするためのノウハウ

 もうすぐ入社シーズン。しかし、多くの新入社員が入社から6ヵ月以上もたない、そして新入社員の2人に1人が、組織の期待に応えることができない、というアメリカ国内での調査結果があります。

 日本でもかなり近い状況であると思いますが、いったいなぜこういった事態が起こるのでしょうか?それは多くの場合、企業側が、新人社員が円滑に仕事に慣れるための効果的なプログラムを提供していないことが大きな原因です。

 これは就職だけではなく、何事においても最初の一歩は非常に重要です。実際、新入社員の場合、最初の一歩を間違えると、間違った方向に踏み出してしまい、途中で気付いても「進む道を変える」ことが困難になってしまう場合があります。

 それゆえ、多くの新入社員が短期間で職場を去っていくのです。アメリカではとくに離職率が高く、日本では考えづらいかも知れませんが、だいたい3年おきに会社を替えてキャリアアップしていくという勤労文化が存在します。

 極端に言うと、同じ会社に長期間いることは、周りから見ると「どこからもヘッドハンティングされない、使えない人材である」と思われるくほど、転職についての意識が強いようです。

 そんなアメリカ企業でも大きな問題となっているのが、「新入社員の採用教育」に関することです。日本でも最近の新入社員は6ヵ月以上もたないとよく言われますが、そんな社会情勢を見かねたジョージ・ブラッドとメアリー・ヴォネガットは、新入社員を短期間で生産的にすることのできる、効果性の高いプログラムを紹介しました。

 この「オン・ボーディング・プログラム」とは、オン・ボーディング、つまり新入社員をスムーズかつ迅速に新しい組織に馴染ませ、即座にその人の持つパフォーマンスを促進させるプロセスのこと。通常、新入社員が組織に馴染み、生産的になるまで継続され、アメリカ企業でも広く活用されています。

 本書で書かれている、この画期的なプログラムを導入すれば、少なくとも新入社員を6ヵ月で辞めさせない、逆に6ヵ月間で、新入社員を即戦力化するための、アメリカで実証済みの素晴らしいノウハウを学ぶことができます。とくに企業経営者、人事担当者必見の良書です。 

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