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元駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」

もはや歴史的伝統。韓国政治はなぜリーダーシップ不在なのか

武藤正敏 [元・在韓国特命全権大使]
【第14回】 2016年12月3日
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朴槿恵大統領の弾劾訴追案の採決については、与党セヌリ党の非主流派の協力がどこまで得られるかが焦点で、予断を許さない
Photo: Reuters/Aflo

政治の争いごとに
首を突っ込みたがる韓国人

 韓国人はもともと政治の好きな民族である。人が集まれば、政治の話をしている。日本と比べ、非常に顕著なのは若者の投票率が高いことである。

 11月29日、朴槿恵大統領は国民向け談話で、「与野党が議論して安定的に政権移譲する方策を作ってもらえれば、その日程と法手続きに従い大統領職から退く」と述べ、2018年2月25日の任期満了前に辞任する意向を表明した。

 朴大統領を窮地に陥れたのは100万人とも150万人ともいわれる大統領退陣要求のデモである。思えば、李承晩政権を倒し、ハワイ亡命へと追いやったのも学生のデモであった。ただ、当時の学生は社会のエリートを自負しており、国難に自分たちが立ち上がらなければならないとの責任感みたいなものがあったと思う。

 今回のデモは、格差に対する不満が原動力である。若者の受験競争は激しく、これに生き残っても就職の際、特権階級が良い思いを独り占めにしているとの不満である。7放世代という言葉がある。「就職、恋愛、結婚、出産、マイホーム、人間関係、夢を諦めた世代」、一言で言えば、人生を諦めた世代ということになる。

 韓国では若者は金大中や盧武鉉大統領に代表される革新系のように思われているが、こうした左翼系の思想を持っているのは30代、40代であり、20代はむしろ私たちの生活をどうしてくれるという世代である。そうした人々が立ち上がったのである。しかも、最近のデジタルメディアを使って参加を呼び掛けているので参加者の規模はとてつもなく大きくなった。

 これまでの間も、故・朴正熙大統領の日本との国交正常化反対のデモ、全斗煥大統領の際の光州事件、李明博大統領の際の米国産牛肉の輸入に反対するローソクデモなど大規模なデモは頻繁に起きてきた。

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武藤正敏 [元・在韓国特命全権大使]

むとう・まさとし 1948年生まれ、1972年横浜国立大学経済学部卒業。同年、外務省入省。在ホノルル総領事(2002年)、在クウェート特命全権大使(07年)を経て10年より在大韓民国特命全権大使。12年に退任。著書に「日韓対立の真相」、「韓国の大誤算」(いずれも悟空出版)。


元駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」

冷え込んだままの日韓関係。だが両国の国民は、互いの実像をよく知らないまま、悪感情を募らせているのが実態だ。今後どのような関係を築くにせよ、重要なのは冷静で客観的な視点である。韓国をよく知る筆者が、外交から政治、経済、社会まで、その内側を考察する。

「元駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」」

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