スポーツ施設「ホリデイスポーツクラブ」を全国展開し、店舗網を順調に拡大している東祥。2016年1月に「ビジネス版LINE」として知られるクラウド型コミュニケーションツール「LINE WORKS」を導入し、業務の効率化に取り組み始めた。従来のグループウェア(自社運用)からの切り替えもスムーズに進み、本部でも店舗でも業務のスピードは確実に向上しているという。「LINE WORKS」で具体的にどんな効果があったのか、そもそもなぜこのサービスを選んだのか、取材した。

古いコミュニケーションツールの課題

ホリデイスポーツクラブ刈谷知立店の外観。平日でも来店客が絶えない

 東祥は、愛知県の三河安城に本社を構えるスポーツクラブ、ホテルなどを展開する中堅企業で、社員数は358人。「ホリデイスポーツクラブ」は、東海地区を中心に北海道から九州まで全国に69店舗を展開している(2016年11月末現在)。

 広い駐車場を備えたロードサイド型店舗で、初心者向けのプログラムとリーズナブルな価格設定、温かみのあるスタッフ対応などで人気だ。取材に行った刈谷知立店は平日の日中にもかかわらず、シニアや主婦を中心に会員が続々と訪れ、気持ちよさそうに汗を流していた。

 さて従来、東祥では本部と各店舗間のコミュニケーションツールとして自社運用のグループウェアを導入。本部からの通達やキャンペーンなどの資料送付、各店舗からの日報共有、設備の修理依頼などに利用していた。

 ただ、このシステムのパフォーマンスが悪く、とくに店舗事務所のPCからしか情報にアクセスできない、マネージャーに付与された外部アクセスのレスポンスが非常に悪いなどの問題を抱えていた。

 同社の菊池裕史執行役員が、このシステムを管理する責任者だったが、専任のIT管理者が存在しないことも大きな問題だった。そんなとき、沓名裕一郎社長がリリース直後だったクラウド型のコミュニケーションツール「LINE WORKS」を見つけた。検討するように指示を受けた菊池執行役員が半信半疑ながらも調べてみると、自社の業務に合う仕様だったという。

「決め手となったのは、まず、多くの社員がプライベートで利用している『LINE』のようなスマホによるチャット機能をビジネスでも使えるということ。またクラウドサービスであり、メールやカレンダー、ポータルなど必要な機能がカバーされていたことです。そしてLINEと操作性が同じなので、社内に浸透しやすいのではと思いました」

 そして、2016年1月に導入を開始。浸透状況を見ながら8月には従来のグループウェアの掲示板機能を停止し、日常の社内連絡はすべて「LINE WORKS」のチャットやホーム(掲示板機能)に移行させた。菊池執行役員が心配していた切り替え時の混乱もなく、導入はスムーズに進んだようだ。

「導入してまだ1年経っていませんが、業務のスピードは確実に向上しました。これまで外出先では仕事にならず、出張先でもわざわざ店舗に寄っていたのですが、今はどこでも同じように仕事ができます。チャットの使い方については細かく指示していませんが、店舗同士や研修プログラム参加者のトークルームを作るなど、現場がどんどん自主的に使い始め、ある時期からトークの量が一気に増えました」(菊池執行役員)