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野口悠紀雄 人口減少の経済学

改善効果わずか2年!
消費税を5%引き上げても、財政状況は悪化する

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第16回】 2011年2月4日
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 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、日本の長期国債の格付けを引き下げた。

 他方、菅直人内閣は、6月をめどに財政再建についての方向付けを示すとしている。その検討に当たっては、定量的な検討が是非とも必要である。以下では、これまで検討してきた社会保障給付の状況等も踏まえ、国の一般会計についての収支シミュレーションを行なうこととしよう。

前提と計算方法

 このシミュレーションにおける計算方法は、つぎのとおりである。

(1)消費税の増収額とその使途

 現在、消費者が支払う消費税の税率は5%である。ただし、このうちの20%(消費税率に換算すれば1%)は、地方消費税の税率だ。以下では、消費税と地方消費税を合わせた税率を「消費税率」と呼ぶことにする。そして、そのうち80%にあたる国税分を検討の対象とする。

 消費税率1%あたりの税収は、ほぼ2.5兆円である。このうち、国税分は2兆円だ。したがって、たとえば消費税率を5%引き上げれば、国税分は10兆円増える(注1)

 ところで、国税としての消費税の29.5%は、地方交付税交付金に充当されることになっている。以下では、この制度が今後も続くとして、各年度の地方交付税を次式で算出する。

(消費税の増税年度において)
   地方交付税交付金=前年度交付金×(1+税収伸び率)+消費税増税額×0.295
(それ以外の年度について)
   地方交付税交付金=前年度交付金×(1+税収伸び率)

 なお、2012年度以外の年度については、
   GDP伸び率=税収伸び率=税収、
   その他歳出伸び率=社会保障費、国債費以外の歳出伸び率

としている。ここで示すシミュレーションでは、この伸び率を年率1%とした。

(注1)正確には、「消費税率を5%ポイント引き上げる」というべきであるが、ここでは簡単化するため、「消費税率を5%引き上げる」ということにする。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 人口減少の経済学

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