数年後には、社内公用語が英語になると囁かれている昨今、ネット上でも様々な「英語学習」サイトが花盛りだ。
そんななか、ウェブページの英単語に、クリック1つで日本語訳のルビを振ってくれる『ずるっこ!』というサービスが話題となっている。
ユニークな名前のこのサービスを手掛けるのは、登大遊氏。2003年に仮想プライベートネットワークソフトウェア「SoftEther」を開発し、翌年弱冠19歳にしてITベンチャーを起業した人物である。『ずるっこ!』は、もともと「自分自身の英語の単語力と読解力を向上させるため」(同氏)に作っていたものを、誰もが利用できるように公開したのだという。
『ずるっこ!』の使い方には、大きく3つの方法がある。1つめは、目的のサイトのURLを直接、同サイトのフォームに入力する方法。2つめは、ブックマークレットをブラウザに登録するというやり方。そして最後に、目的のURLに「zurukko.jp」という一文を追加して、再読み込みする方法である。
とりわけ使い勝手が良いのは、ブックマークレット。ルビを表示させたいページを開き、ブラウザのリンクバーに登録した「ずるっこ!で読む」ボタンをクリックすると、たちまちのうちに英単語の上に日本語が表示されるようになる。ルビはリンクをたどった先のページにも適用されるため、日本語のサイトを閲覧する感覚で、どんどん読み進めることが可能だ。
ウェブブラウザのアドインツールなどには、マウスカーソルを英単語の上に置くことで、その意味が日本語で表示される仕組みになっているものもある。しかし、未知の単語が出てくるたびに、マウスカーソルを手動で単語の上に持っていくのは、案外と面倒だ。
そこで登氏が考えたのが「すべての単語にルビを振ってしまう」という逆転の発想である。しかし、それでは既知の単語にもルビが振られてしまい、結果的に、英文を読まなくても何となく全体の意味がわかってしまう。これでは英語読解の練習にならない。
「そのため、覚えている単語はクリックして消すことができるようにしました。ボキャブラリーが増強されればされるほど、日本語のルビの表示数が少なくなるようにしたんです」(同氏)
消した単語のリストは『ずるっこ!』のサーバー内に蓄積されており、以降、他のページを閲覧する際にも表示されることはない。つまり、消せば消すほど、自分の苦手な単語が明確になり、絞り込まれていくことになる。
初心者であれば、たとえば英字新聞の記事を「ずるっこ!」してみてはいかがだろう。もともと日本のニュースを英文にしたものが多いので、内容も類推しやすい。なかには、記事を音読してくれるサイトもあるので、そうしたサービスとの“合わせ技”が、より効果的といえそうだ。
(中島 駆)