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レイプ事件がアメリカ社会で多発する3つの理由

『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』

アーヤ藍 [HONZ]
【第27回】 2016年12月9日
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(写真はイメージです)

 19.3%、実に5人に1人。

『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』
ジョン・クラカワー/菅野 楽章 (訳)
亜紀書房
516ページ
2700円(税別)

 これだけの割合のアメリカ人女性が、年齢を問わず、これまでにレイプ被害を受けたことがあると、米国連邦機関・疾病予防管理センターによる2014年9月の報告書で明らかになった。これほどにも「ありふれた犯罪」である一方、被害者の64%~96%は警察に被害を届け出ず、アメリカ国内でもっとも報告率の低い重大犯罪でもある。また、訴追されるのはわずか0.4~5.4%、うち有罪判決がくだされるのは0.2~2.8%。レイプ事件が起きた時、90%以上の確率で加害者が刑罰を免れていることになる。

 本書『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』は米国モンタナ州第2の都市ミズーラで、マンモス校モンタナ大学のアメフト選手たちが2010年~2012年にかけて引き起こした複数のレイプ事件について、丹念なインタビューと取材を重ね、その真相に迫ったノンフィクション作品だ。ミズーラという一つの都市に注目しながらも、なぜアメリカ全土でこれだけレイプ事件が多発し、訴追・報告率が低いのか、その要因を大きく3つの観点から浮かび上がらせる。

「誤った固定観念」が
社会に蔓延している

 一つ目は、社会に蔓延している「誤った固定観念」だ。

 例えば、レイプ被害に遭った時、女性は全力で抵抗をしたり助けを求めるはずだと思われがちだが、実際には、恐怖心と無力感でいっぱいになり、抵抗をしない場合がほとんどだ。

 恐怖心だけではない。

 シアトルの熟練法律家で、11年にわたりキング郡検察局で暴行特別捜査班を指揮していたレベッカ・ローは語る。

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アーヤ藍 [HONZ]

ユナイテッドピープル取締役。ドキュメンタリーを中心に、社会問題をテーマとした映画の配給宣伝に携わる。小さい頃から現代美術、演劇、映画にはよく触れてきたが、共通して、人間の心理や社会構造を炙り出しているような作品を好む。戦争・紛争、心理学・コミュニケーションが最近のメイン関心分野だが、基本的には飽き性で雑食。

 


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