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性犯罪が米大学内で横行「キャンパスレイプ」の実態

仲野博文 [ジャーナリスト]
2016年6月24日
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名門スタンフォード大の男子学生がキャンパス内で女子学生に性的暴行を働き逮捕。「温情判決」を出した裁判官の罷免運動が始まるなど、市民の怒りの声が止まない Photo:REUTERS/AFLO

今年1月、名門校として知られる米スタンフォード大学で、水泳部に所属する男子学生がキャンパス内で女子学生に性的暴行を加えた容疑で逮捕された。男子学生が高校時代に全米代表に3度選ばれていたことや、裁判所が下した求刑が加害者に甘いと憤慨する市民の批判もあり、事件は大きな話題を集めた。スタンフォードの事件は「氷山の一角」で、女子学生の4人に1人が何らかの形で性犯罪被害に遭っているとも言われるアメリカの大学。統計から見える数字はショッキングなものだ。(ジャーナリスト 仲野博文)

映画「告発の行方」から28年
米社会の性的暴行被害は減少したか

 1988年にアメリカで公開された映画「告発の行方」は、ジョディ・フォスターの役者としてのキャリアの中でも間違いなく代表作に挙げられる作品だ。実際に翌年のアカデミー賞で、ジョディ・フォスターはアカデミー主演女優賞を受賞するのだが、「告発の行方」のストーリーは当時のアメリカで深刻な社会問題となっていたレイプと性犯罪被害者の苦悩を描いた作品として、アメリカ国内外で大きな話題を呼んだ。

 ストーリーを簡単に説明しておくと、ジョディ・フォスターが演じる主人公の女性がバーで複数の男に暴行されたが、容疑者の男性はみな「合意のもとによる行為だった」という主張を繰り返し、主人公が事件発生時に酒とマリファナで酩酊状態にあったことも影響して、「レイプ」の確固たる証拠を見つけられなかった検察は司法取引という形で決着を試みた。この判断に大きな絶望感を抱いた主人公は、自傷行為を始めるほど精神的に追い詰められていくのだが、事件を担当していた女性検事補の協力を得て、教唆罪で暴行に加担した男性を告発していく。

 検事補を演じたケリー・マクギリスは「トップガン」でトム・クルーズと共演した、当時を代表する人気女優であったが、自身も性犯罪の被害者であったことを映画の公開時に告白している。1982年、マクギリスは自宅で性的暴行を受けた。逮捕されたのは少年刑務所から脱走していた未成年の少年で、成人男性の知人と共に犯行におよんだ。この少年は起訴されたものの、未成年であることが考慮され、大幅に減刑される形で禁固3年の実刑判決が下された。余談になるが、この少年はのちにレーガン大統領の暗殺計画を立てていたとして再逮捕されている。禁固50年の判決によって、2048年まで仮釈放なしの服役が続くと米メディアは伝えている。

 「告発の行方」が公開されてから28年になるが、アメリカ社会が性暴力に対して根本的に大きく変わっていないことを示唆する事件が今年3月にカリフォルニア州で発生し、事件の被告となった男子大学生への求刑が「甘すぎる」という批判が全米で噴出している。

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仲野博文 [ジャーナリスト]

甲南大学卒業、米エマーソン大学でジャーナリズムの修士号を取得。ワシントンDCで日本の報道機関に勤務後、フリーに転身。2007年冬まで、日本のメディアに向けてアメリカの様々な情報を発信する。08年より東京を拠点にジャーナリストとしての活動を開始。アメリカや西ヨーロッパの軍事・犯罪・人種問題を得意とする。ツイッター:twitter.com/hirofuminakano

 


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