革命的圧勝

 名古屋市の河村たかし市長が仕掛けた、名古屋市長選、愛知県知事選、加えて名古屋市議会の解散の是非を問う住民投票のトリプル選挙は、「名古屋革命」と呼びたくなるくらいの河村氏側の圧勝に終わった。

 市長選における河村氏の得票は2位候補の3倍を超し、河村氏に呼応して愛知県知事選に立った大村秀章氏も2位候補のほぼ3倍の得票で、加えて、民主党が推薦した御園慎一郎氏は2位にもなれずに惨敗した。愛知県は、これまで民主党が強い地域とされていて、前回の総選挙でも15ある小選挙区で全て民主党候補が勝ち上がった。

 河村氏への賛意もさることながら、現政権の政権運営に対する批判が相当に深刻であることが窺える。

 菅首相及び枝野官房長官は、地域主権を尊重する観点から、地方選挙の結果にコメントしないとしているが、特定の候補を推薦したのだから、この言い逃れは詭弁というべきだろう。有権者にも失礼だ。

 選挙後の民主党執行部の反応には一つ興味深い点がある。今回の選挙の敗北責任について、小沢氏を支持する勢力の代表的な存在で参院の重鎮である輿石東氏は岡田幹事長に対して、「あんたのせいじゃない。こんなことでへこたれるな」(『朝日新聞』2月8日朝刊)と声を掛けたという。輿石氏の立場を考えると、小沢氏を追い込んでいる党執行部の岡田幹事長の責任を問う声が出てもおかしくないが、そうはしなかった。

 おそらく、岡田幹事長は、菅政権の中枢に対して距離を置き始めているのではないだろうか。思えば、岡田氏は、外相として普天間問題の矢面に立たされ、その後は小沢氏の処分を巡る問題で成果の出るはずがない立場を押しつけられ、まるで彼の将来の可能性を摘むかのような不利な役割を負わされてきた。岡田氏が、菅首相及びその周囲の勢力に見切りを付けても不思議ではない。