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山崎元のマネー経済の歩き方

利益源としての行動ファイナンス

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第166回】 2011年2月22日
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 筆者が獨協大学で担当している「金融資産運用論」の秋学期の試験の1題として、行動ファイナンスが運用商品の開発にどのように応用できるか、を出題した。

 投資家が合理的であることを前提とした伝統的なファイナンスの世界で評価するとダメな運用商品でも、行動ファイナンスで研究されているような投資家の判断のバイアス(歪み)のツボに入った商品なら、実際には好条件でなくても投資家に受け入れられる公算が大きく、現実にそうなっている。

 伝統的なファイナンスで計算する損得、行動ファイナンスの内容と応用の可能性、市場から得られるリターンを売り手と投資家が分ける金融商品の構造──、いずれも、学生に知ってほしい知識を組み合わせた授業の集大成的な問題なので、たぶん、今後も少しずつ形を変えながらも、毎回出題するテーマになりそうだ。

 具体的な運用商品の例としては、通貨選択型なども含めた、毎月分配型の投資信託を例にして説明するのがいちばんわかりやすい。

 まず、「毎月分配」のような頻繁な分配金の支払いは、課税のタイミングが早まり、伝統ファイナンス的には得でないし、多めの分配金自体が課税上得でない。
しかし、分配金を高めに設定し、毎月あるいは隔月で頻繁に分配する商品を作って、分配金の利回りの高さと安定性を強調して売ると、行動ファイナンス的には以下のようなメリットを投資家が「誤って」感じることが期待できる。

 そもそも、分配金のような精神的な「報酬」について、人間は近い時点を過大評価するバイアスがあり(「時間不整合」あるいは「双曲割引」)、頻繁な分配金は投資家に過大評価されやすい。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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