ハウスメーカー・ヤマヒサのペットケア事業部が2016年10月1日付で独立し、ペット用品専業メーカー「ペティオ」が誕生した。独立の背景にはペットの家族化がある。ペットから家族へ――。オーナーのより高い要望に応えるためにも、迅速な意思決定ができる専業メーカーとなり、飛躍を誓う。

ペティオ
山田武史代表取締役社長

 わが国は子どもの数よりもペットの数の方が多い」と聞いたら、驚く人は多いのではないだろうか?

 実際のところ、0~14歳までの子どもの数は約1605万人(2016年、総務省調べ)、それに対し、ペットの数は犬猫合計で約1980万匹(15年、ペットフード協会調べ)という統計がある。

「ペット市場の規模は、サービス産業まで含めると約1兆円、そのうちフード、用品、アクセサリー、消耗品の物販分野は約4000億円と推計されています。わが国の生活様式が、大家族から核家族、DINKs、単身世帯というように変化していく中で、ペットが果たす役割はますます高まっております」とペティオ・山田武史社長は分析する。実はペティオがヤマヒサから独立した大きな理由もそこにある。ペットを飼うようになって夫婦の会話が生まれた、新しい友人ができたという話はよく聞く。今やペットは“家族”なのである。

「ヤマヒサの時代からお客さま、卸、販売店、協力工場などさまざまなステークホルダーの方々に支えられて成長してきました。一方でペット業界は非常に大きな業界となり、サプライチェーンが複雑化しています。ペット業界とハウスメーカー業界ではビジネスモデルが異なるため、意思決定のスピードアップをはかる必要がありました」と山田社長は振り返る。

 同時に「専業宣言」は不退転の企業姿勢を示すことになり、ステークホルダーに安心感を与える要素にもなった。

総合ケアブランドとして
業界リーダーを目指す

 では、山田社長はどのような事業戦略を描いているのか。

 ペット業界にはフード、おやつ、用品など、それぞれに特化したメーカーが多い。「その中で当社は『ペットと人が幸せに暮らせる共生社会の創造』というコンセプトに従って、衣食住の全てを満たす総合ペットケアブランドとして、業界のリーディングカンパニーを目指します」と新会社の方向性を示す。

 日本のペット文化は独特な進化を遂げてきた。小型犬や猫の室内飼いが増えているため、オーナーとペットが室内でコミュニケーションが図れるおやつや用品、室内飼いのペットの運動不足を解消したり、快適に過ごすための用品などのニーズが高い。例えば室内で猫が縦運動できるキャットタワーがそうだ。そしてオーナーは“わが子”に与える新製品を常に待ち望んでいる。

「当社のアイテム数は約3000ですが、毎年そのうちの約1割、300SKU(最小管理単位)が新商品に入れ替わります。それでも新商品のアイデアは尽きません。新商品を開発してお客さまに提供する喜びを全社員が知っているからです」と語る山田社長。もちろん商品の開発・製造は安全を第一に考え、海外の協力工場に対しても国内の自社工場同様の自主品質基準を順守している。

QC(品質管理)活動により製品の出荷から出荷後まで徹底した管理が行われている。特に安全管理は徹底していてISO認証取得した自社の姫路工場の厳しい基準を海外工場にも適用。商品の品質には「お客様相談室」に寄せられた顧客の声も生かされる