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今週のキーワード 真壁昭夫

もう従来の「資源ナショナリズム」では説明がつかない?
原油・穀物の高騰が暗示する新たな“パラダイムシフト”

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第166回】 2011年3月8日
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アラブ諸国の政情不安が落ち着いても
原油高は「一時的な現象」に留まらず!

 エジプトやリビアなど、アラブ諸国の混乱がさらに拡大することを懸念して、足もとで原油価格が高騰している。今回の原油価格の上昇を、単なる一時的な現象とみるのは正しくない。

 今後、リビア情勢などが落ち着きを取り戻せば、原油価格が短期的に安定する局面はあるだろう。しかし、最近の原油価格の高騰の背景にある要素を忘れてはならない。

 なぜ、チュニジアで混乱が発生し、それがアラブ諸国へと広がったのだろう。突き詰めて考えると、それは、失業率の高い同国で食糧品価格が上昇したため、庶民の暮らしが苦しくなったからだ。それに加えて、リビアなどでは長期間にわたる圧政に対する不満があった。

 重要なポイントは、穀物やエネルギー資源などが、世界的に不足状態に陥りつつあることだ。多くの人口を抱える新興国諸国で経済が大きな成長を遂げているため、食料品や工業製品の原材料に対する需要は、飛躍的に拡大している。

 ところが、穀物や天然資源の産出量は、そう簡単に増えない。しかも、穀物の生産量は、天候などの自然条件に大きく影響される。その結果、供給が需要の増大に追い付けず、価格が上昇しているのである。

 当面、こうした状況が続くと見られ、商品市況の価格上昇傾向が一段と鮮明化することが考えられる。問題は、それがさらに進むと、おカネを出しても穀物などを買うことができない状況になることだ。

 それが現実のものになると、世界経済の様々な分野で「隘路=ボトルネック」が発生し、「経済構造が大きく変わること=パラダイムシフト」が起きることが想定される。原油価格の上昇は、そうした大変革の兆候とも考えられる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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