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一流の睡眠
【第18回】 2017年1月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

真冬に熟睡したければ
「エアコン」をこう使え!

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『一流の睡眠』では、忙しいビジネスパーソンが仕事のパフォーマンスを落とさないための眠り方について、32の具体策を紹介しています。本稿では、本の中では触れられなかった「寒く乾燥しやすい冬に、どう快適に眠るか?」という話をしたいと思います。(構成:山本奈緒子 聞き手:今野良介)

冬の睡眠不足が
夏より危険な理由

 冬の睡眠不足は、夏以上に体へのダメージが大きくなります。湿度が下がって乾燥すると、空気中のウイルスが活動しやすくなります。さらに、空気が乾燥すると、喉の粘膜が乾燥して炎症をおこしやすくなり、ウイルスを防御する力が衰えてきます。ただでさえ体調を崩しやすい環境下に、睡眠不足で免疫力が低下すると、なおさら風邪やインフルエンザにかかりやすくなるのです。

 さらには、寒い時期は美味しいものが増えますから、食べ過ぎてしまい、太りやすくなります。夜更かしや睡眠の乱れは、食欲に関連するホルモンのバランスを乱し、体重増加に拍車をかけます。正月明けに体調を崩して体重も増加してしまった、という人も少なくないでしょう。また、睡眠不足は、血圧を不安定にする可能性があります。さらに、冬は外気と建物内の気温の変化が激しいために血圧が変動しやすいですから、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高まります。冬の睡眠不足は危険の宝庫なのです。

 最近、「お風呂は何度で入るとよく眠れますか?」とか「寝室のエアコンは切ったほうがいいですか?」といった冬の睡眠環境についての質問を受けることが少なくありません。しかし、そのたびに私は答えに窮してしまいます。睡眠環境とは、寝具、パジャマ、お風呂の入り方、布団のかけ方など、多くの要素が複雑に入り混じっているからです。どんなに高機能なマットレスを買っても、隣で寝ている人のイビキがうるさかったら、熟睡することはできないでしょう。

 つまり、睡眠環境を作る無数の要素の中から、まず「どこから改善するのか?」を決めて、その結果を1つひとつ検証しないと、「何が原因で眠れないのか?」が判然とせず、結果として睡眠が改善されないということになりやすいのです。

「睡眠環境マトリクス」の
左上から対処していく

 そこで、是非やっていただきたいのが、「睡眠環境のマトリクス」を作ることです。縦軸と横軸を書き、横軸の左右を「内部環境」と「外部環境」、縦軸の上下を「コントロールできる」と「コントロールできない」として4象限に分割し、4つの枠に、1つひとつの要素を当てはめていくのです。

 左上の「(1)コントロールできる内部環境」には、パジャマや寝具、お風呂の入り方など、自分次第でいくらでも工夫できる事柄が当てはまります。右上の「(2)コントロールできる外部環境」は、隣で寝る人のイビキや、お子さんの夜泣きなど、自分以外の人の問題だけれども、寝室を別にするなどの対策が取れる事柄が当てはまります。

 一方、左下の「(3)コントロールできない内部環境」は、性格が合わない上司へのストレスや明日のプレゼンに向けた不安などの仕事上の悩み、すでに罹患してしまった風邪、女性のホルモン周期による不眠など、自分自身のことながら簡単には調整できない事柄が当てはまります。そして右下の「(4)コントロールできない外部環境」とは、たとえば家が国道沿いにあって騒音がすごいなど、ほとんどどうしようもないような事柄が当てはまります。

 このように4分割すると、(1)から(4)に進むに連れて、コントロールが難しくなってくることがわかります。だからこそ、まずは自分の工夫次第で改善できる、左上の「コントロールできる内部環境」から着手すべきなのです。ただし、「睡眠の妨げになっていると感じやすい順番」は、(4)から(1)と逆であるという点に注意が必要です。

 たとえば(4)の代表例「近所の騒音」に対処するには引っ越すしかありませんし、(3)の仕事のストレスは、自分だけではどうしようもありません。(2)のパートナーのイビキに対処するために別の部屋で眠ろうとしても、それを相手に伝えるとなれば、人間関係上のストレスが生まれるでしょう。だからこそ、まずは(1)の「コントロールできる内部環境」から手をつけるのが最も効率的なのです。

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裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

はい・えいしゅ/医師・医学博士、MBA。ハイズ株式会社代表取締役社長。

 

1972年奈良県生まれ。 金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科修了。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科(現・心肺・総合外科)に入局し、大学病院や基幹病院を中心に、主に胸部外科(肺がん、心臓病など)に従事し、日々手術に明け暮れる。その後、金沢大学大学院に入学し、外科病理学を専攻し医学博士を取得。さらに、病理専門医を取得し、市中病院にて病理医として病気の最終診断にかかわり、年間1万件以上の重大疾病の診断をこなす。

また、医師として働きつつ慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)にて医療政策・病院経営の第一人者の田中滋教授に師事。同ビジネス・スクールを首席で修了。フランスグランゼコールESSEC大学院交換留学。ビジネス・スクール在学中に医療機関再生コンサルティング会社を設立。多数の医療機関の経営支援、ヘルスケア企業の医学アドバイザー業務などを行なっている。 現在も医師として臨床業務をこなしつつ、臨床の最前線からのニーズを医療機関経営に活かすハンズオン型支援を行なう。

著書に『10の仕事を1の力でミスなく回すトリアージ仕事術』『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』(ダイヤモンド社)、『医療職が部下を持ったら読む本』(日経BP社)などがある。

 


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