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「引きこもり」するオトナたち

余命半年宣告でも引きこもりの家族救済に奔走
“親たちのカリスマ”死去に想う「1つの時代の終焉」

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第59回】

 「引きこもり」界において、ある種の“カリスマ”的存在だった1人の父親が、3月2日朝、亡くなった。

 日本最大の家族会組織である「全国引きこもりKHJ親の会(家族会連合会)」代表の奥山雅久さんだ。

 享年66歳。死因は、肺がんだった。

 3月6日夕方、埼玉県さいたま市岩槻区の新成寺で行われた通夜に参列して、いろいろな思いが頭を駆け巡った。

アットホームな雰囲気の通夜会場
それとは裏腹に壮絶だった“生きざま”

 朝は冷え込んだのに、日中は春の兆しを感じさせるような、陽気の穏やかな日だった。通夜に向かう途中、赤々とした巨大な陽が落ちていくのを見て、1つの時代が終わったんだなという、やるせない思いに涙がにじむ。

 奥山さんは10代の頃、すでに骨肉腫を発症して、左足を切断せざるを得なかった。

 その後、広告業界の会社に入社。よく車で川っぱらの土手まで出かけ、夕陽を眺めていた。昔、そんな話をしてくれたことをふと思い出す。

 通夜の会場は、懐かしい顔の家族や当事者、支援者らも集まって、さながら“奥山ファミリー”の同窓会のような感じになった。本人がこの場にいたら、さぞかし、ところ狭しと杖をつき、はしゃぎまくったことだろう。

 しかし、ほのぼのと会場を包んだアットホームな雰囲気とは裏腹に、奥山さんの“生きざま”は壮絶だった。

“引きこもりの親”として
当事者や家族の苦悩を世に知らしめた第一人者

 奥山さんは、自らが“引きこもりの親”として実名で顔をさらし、全国を渡り歩いて、各地で家族会を立ち上げた。その一方で、あまり認知されていなかった「引きこもり」本人や家族の苦悩を世に知らしめ、理解と支援を訴え続けてきた結果、国は2度にわたって「引きこもり対応ガイドライン」を策定し、実態調査を行うまでに至った。

 筆者が初めて、奥山さんと会ったのは、10年以上前にさかのぼる。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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