弁当や総菜を買うのに
アマゾン・ゴーを利用するか

 それ以前に流通業というのはドメスティックな産業である。果たしてアマゾン・ゴーはレジ決済がなくて済むからといって、セブン-イレブンの隣にアマゾン・ゴーができたとしたら、わざわざそこにいくかどうかは分からない。もちろん、ナショナルブランドのような商品の質自体が分かっているものならば、アマゾンの店舗で購入するかもしれないが、弁当や総菜はそうはいかないだろう。

 事実、これまで食品を扱ったり、嗜好性の強い日用品や一般用医薬品(大衆薬)を扱う流通外資が相次いで日本から撤退した背景には、日本人の嗜好などを見極めきれずに、自国のやり方を押し付けたからにほかならない。

 日本の消費者は商品の質や商品政策などを抜きにして、「レジでの決済が不要」という利便性だけでは選択しないとみられる。セブン-イレブン・ジャパンとローソン、ファミリーマートでは日販で10万円も差があるが、それは商品力の差である。アマゾン・ゴーが決済手段で利便性に優れているからといって、それだけでは購買動機にはなりにくいのである。

 ただ、アマゾン・ゴー方式の方がコストは少なくて済む。ICタグは一品一品タグを貼付しなければならず、コストが下がったとしてもタグ分については誰かが負担しなければならない。ICタグの活用でレジ人員の削減や、サプライチェーンの効率化で流通の生産性が上がることによって流通側が、そのコストを負担することになれば話は別だが。

現時点では流通を
席巻するまでにはならないが…

 いまのところ、アマゾン方式もICタグによる決済方法のどちらをみても一長一短がある。現時点ではアマゾン・ゴーが流通を席巻するまでにならないだろう。

 しかもアマゾン・ゴーではまだ、解決しなければならない課題は少なくない。

 例えば、購買の瞬間をどう判断するかの問題である。様々なイレギュラーなケースが考えられるからだ。子ども連がの子どもに商品をとらせて、自らのバックに収納してしまう場合、これはこの親が購入したのかをどう判断するかなど、曖昧な部分が多いとみられている。

 また、現在、スマートな決済方法として米ウォルマート・ストアーズが実用化を進めている「スキャン&ゴー」という方式もある。専用アプリを入れたスマートフォンを活用して、商品のバーコードを消費者がスキャンしてスマホ上で決済する方式だ。これならレジに並ばずに済むが、これとて種々のあい路がある。

 レジ方式はスーパーが出現してから連綿と続く、チェーンストアのオーソドックスなスタイル。しかし、国内では人手不足の昨今、流通業の生産性を上げなければならないのは間違いない。この方式を打破する新しい決済手段に移行する日は、そう遠くはなさそうだ。