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生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

中卒の若者の貧困と孤立を、生活保護は救えるか?

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第76回】 2017年1月20日
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2015年、中学卒業者の高校進学率は98.5%であったが、それ以外の約4000人は就職し、約8700人は進学も就職もしなかった。また同年、全国で4万9000人が高校を中退した。そうした人々は、未成年ゆえにできないことが数多くあるにもかかわらず、「働ける」と見なされて福祉の対象になりにくい。不利な状況の中で消耗しながら年齢を重ねてゆくサイクルを断ち切る鍵は、「高校」と「生活保護」にある。

大人と子どもの「谷間」に落ちた
若者たちのサバイバル

未成年ゆえにできないことが数多くあるにもかかわらず、福祉の対象になりにくい「中卒」の若者たち。その貧困と孤立の現状をリポートする

 坪井恵子さん(56歳)は、福岡市の一般社団法人「ストリート・プロジェクト」(以下、ストプロ)で理事長を務めている。ストプロの目標は「ユース(筆者注:おおむね15-25歳)の貧困と孤立を防ぎ、解消し、自立と夢の実現を!」だ。ストプロの支援を受けている「ユース」たちは、そもそもなぜ、貧困状態にあり、孤立しているのだろうか?

 「ストプロのユースのほとんどは、親にネグレクトされてきています、生活保護世帯の場合、親が食費を含めて子どものためのお金を使い込んでしまっていたり、適切な衣食住を与えて養育することを放棄してしまっていたりすることもあります」(坪井さん)

 なかには、「子どもを搾取している」としか言いようのない親もいる。

 「高校生の子どもが奨学金を得て、それで校納金を支払うつもりだったのに、親が使い込んでしまい、高校中退に追い込まれそうだというケースもありました」(坪井さん)

 坪井さんは2000年代後半、自分の子どもの1人が高校に進学しなかったいきさつをきっかけとして、中卒や高校中退の若者たちの「生きづらさ」に目を向けるようになった。坪井さんの子どもは、好きな仕事に就き、努力を重ねて「手に職」をつけ、現在は立派な職業人として活躍している。しかし一般的に、最終学歴が中卒のままでは、職業選択やステップアップの可能性が非常に少なく、安定した就労を長期に継続することは難しい。そして15~25歳の年齢層に対しては、公的支援が極めて手薄なのだ。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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