
創業から右肩上がりに売上高を伸ばし、直近の第22期は前期比104.8億円増の362.8億円(連結目標)と急成長を遂げているDYM。実質無借金経営を継続させつつ、毎年多くの新規事業を立ち上げているのが特徴で、今は海外展開を急加速させている。なぜ強固な財務基盤を保ちながらチャレンジを続けられるのか。その理由と今後の事業戦略を水谷佑毅代表取締役社長に聞いた。
「日本への貢献」のため、高収益と社員への還元を維持する
厚生労働省の「人口動態統計」によれば、2024年の出生数は約72万人と過去最少を更新。14年は約100万人だったため、10年で3割近くが減った計算となる。少子化の加速に伴い人口も減少しており、1年で約90万人が減った。
この人口減少トレンドが長期的なものであることは言うまでもなく、国内市場の縮小は避けられない。医師でもあるDYMの水谷佑毅代表取締役社長は、この状況に対し「非常に危機感を持っています」と語る。
「人口が減り続けて少子高齢化は加速の一途をたどっています。今後、税収は伸びる見込みがない中で、社会保障費は膨らみ続けます。資源もない日本の未来は、衰退一直線と考えるしかありません。政府の借金はすでに膨大な額なので、金利も上げにくく、『円』の通貨としての力は弱まっていく一方です」
そうした状況を踏まえ、海外へ移住する人もいる。水谷社長は、経済にシビアな経営者としてそれに理解を示しつつ、「私はしません」と言い切る。
「個人やごくわずかな身の回りの人の利益だけを考えた場合、海外へ身を移すという選択肢も理解できなくはありません。しかし私は、日本人として生まれた以上、日本に貢献したいという気持ちが強くあります。あくまでも日本に軸足を置き、企業として高い収益を上げ続け、社員に還元してしっかりと納税するということを推進したいのです」
そのための戦略として、これまで以上に注力しているのが海外展開だ。すでにタイ、ベトナム、インドネシア、香港、米国などに拠点を広げているが、さらなる拡充を図るという。
「幅広く事業を展開してきたのがDYMの大きな強みです。医療、WEB広告、人材、飲食などさまざまな領域で海外展開を強め、日系企業として『外貨を獲得する』ことに全力を挙げたいと思っています」
なぜDYMは多様な事業で成果を出せるのか。次ページでは、DYMの競争力の源泉を探りつつ、持続的な成長を支える組織風土にも迫っていく。