格納容器の圧力が高まると破壊されるので、バルブを開いて、高圧になった気体を放射性物質と共に外部に放出する作業に入ったが、事故の経過を見ると、悲観的にならざるを得ない。しかしもうすでに、事故解析の原稿を書いている段階は過ぎたようだ。15日昼頃には、敷地内での放射能が通常の350万倍に達した。テレビでは、コメンテーターも政府もみな、微量、微量と言い続けた。ここまでくれば、みな、おそるべき犯罪者たちである。さらに2号機では、格納容器の破損が起こり、4号機では建屋内の使用済み核燃料のプールが沸騰を始めたという。ここには、原子炉より多くの放射性物質が入っている。作業者が近づけない場所であるから処理はおそらく不能であろうと、15日の午後5時時点で、私は推測するが、この推測が間違ってくれるよう祈っている。福島第一原発の6基のうち、1基がメルトダウンすれば、そこには職員がいられなくなる。すべてを放棄して逃げ出すだろう。あとは連鎖的に事故が起こる。

 この発電所には、全部合わせて、事故を起こしたチェルノブイリ原発の10倍を超える放射能があると思われる。あとは、この放射能が無害であると、政府と原子力安全・保安院と電力会社とテレビの御用学者たちは言い続けるはずだ。もし日本の国民が愚かであればそれを信じて、汚染野菜を食べることだろう。明日、すぐには死なないからだ。しかしかなりの高い確率で発癌することが分っている。子供たちを守れるのは、事実を知っているあなただけである。

『原子炉時限爆弾』で、私はこう書いた。
--「10年後に、日本という国があるのだろうか」と尋ねられれば、「かなり確率の高い話として、日本はないかも知れない」と、悪い予感を覚える。…(中略)…この先には、まったく報じられない、とてつもなく巨大な暗黒時代が待ち受けているのだ。その正体は、想像したくもないが、人知のおよばない地球の動きがもたらす「原発震災」の恐怖である。--と。
その通りになってしまったのだとすれば、悔やんでも悔やみきれない。

※大地震による原発災害の危険性を指摘した
『原子炉時限爆弾~大地震におびえる日本列島』
  広瀬隆著/2010年8月/ダイヤモンド社刊