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China Report 中国は今

機を見るに敏なのか、流言に弱いのか――震災による中国人のパニックは日本人以上の面も

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第71回】 2011年3月25日
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日本では中国人の
「脱出パニック」が発生

 3月20日、羽田空港の中国線出国カウンターには、出発時間の2時間前にもかかわらず、すでに中国人の長蛇の列ができていた。上海の虹橋空港では3月12~14日にかけて通常の3倍の入国者数を記録、浦東空港でも11~15日にかけて、およそ1万人の中国人が帰国した。

 上海行きMU538便に搭乗する中国人女性は、「昨日、上海から航空券を取り寄せた。片道で11万円も払った」と話す。通常ならば往復でも6、7万円がいいところだ。彼女が帰国を急ぐのは「日本はこれから食べ物がなくなる」という危機感があるため。栃木県の日本人男性に嫁いだ彼女は、「すでに汚染された可能性のある土地に苗を植えることはできない」と言う。

 茨城―上海間を結ぶ春秋航空が3月末までの欠航を決めたことは、さらに混乱に拍車をかけた。日本語のwebサイトにも「ネットでの払い戻しができない、電話、メールで問い合わせても通じず、返信もない」という声が上がっていたが、羽田で東方航空のチェックインカウンターに並ぶ中国人からも実際に「欠航決定後、春秋航空の茨城事務所はまったく連絡がつかなかった。買った航空券はどうなるのか。電話番号を残しているのだから、航空会社の方から連絡があってもいいはずだ」と不満を訴えた。

 前後して、上海では「往復チケット2万元(約24万6000円、1元=約12.3元として)」のニュースが流れた。急騰する航空券価格に、さらに買い手が殺到した。

 さて、羽田から上海に到着した筆者を出迎えたのは、ちょっとしたサプライズだった。福島第一原発の報道を理由にした「面会お断り」である。

 その晩は上海人の友人に「自宅で食事を」と招かれていたのだが、ドタキャンに。送られてきたメールはこうだった。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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