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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

福島原発に62メートルの高さから放水できる
ポンプ車を送った“無名の巨人”三一重工

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第46回】 2011年3月31日
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 カメラマンの友人から、中国製の62メートルのアームを持つポンプ車が福島第一原発の現場に入ったという知らせのメールが送られてきた。

パトカーに護送されながら福島原発に向かうポンプ車。写真:劉傑

 中国側の報道をまとめると、爆発などの深刻な事故を起こした福島第一原発の冷却放水問題で四苦八苦していた東京電力が在中国日本大使館を通じて、中国湖南省に本社を構える特殊建設機械大手メーカー、三一重工業集団有限公司(以下は三一重工と略す)に高さ62メートルから放水できるコンクリート用ポンプ車SY5502THBの購入を打診した。

 その要請を受けた三一重工はただちに1台約8500万円する同ポンプ車および関連機材の無償提供を決めた。こうして同ポンプ車は20日に上海に送られ、そこで船積みされて24日午前に大阪港に到着し、同日深夜に千葉の訓練基地に入った。

 25、26日の2日間で日本側の関係者に操作などの特訓を行ったうえ、27日早朝に特訓基地を出発し、午後2時前に目的地の福島原発付近に無事到着した。中国製のこのポンプ車は、本来は主に建設現場で使用され、高いところにコンクリートを送るための専用車である。

 福島第一原発では、冷却放水作業に使われることになっている。三一重工側は操作方法やポンプ車のメンテナンスを指導するために技師2人を日本に派遣した。

 ところで、この三一重工については、日本人の多くがまったく予備知識をもっていないと思う。いや、中国人の多くもその存在を知らないだろう。

 特殊建設機械大手メーカーとして業界内ではそれなりに知られている三一重工がはじめて一般大衆の注目を浴びたのは、例のチリ鉱山の落盤事件だった。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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