カメラマンの友人から、中国製の62メートルのアームを持つポンプ車が福島第一原発の現場に入ったという知らせのメールが送られてきた。
中国側の報道をまとめると、爆発などの深刻な事故を起こした福島第一原発の冷却放水問題で四苦八苦していた東京電力が在中国日本大使館を通じて、中国湖南省に本社を構える特殊建設機械大手メーカー、三一重工業集団有限公司(以下は三一重工と略す)に高さ62メートルから放水できるコンクリート用ポンプ車SY5502THBの購入を打診した。
その要請を受けた三一重工はただちに1台約8500万円する同ポンプ車および関連機材の無償提供を決めた。こうして同ポンプ車は20日に上海に送られ、そこで船積みされて24日午前に大阪港に到着し、同日深夜に千葉の訓練基地に入った。
25、26日の2日間で日本側の関係者に操作などの特訓を行ったうえ、27日早朝に特訓基地を出発し、午後2時前に目的地の福島原発付近に無事到着した。中国製のこのポンプ車は、本来は主に建設現場で使用され、高いところにコンクリートを送るための専用車である。
福島第一原発では、冷却放水作業に使われることになっている。三一重工側は操作方法やポンプ車のメンテナンスを指導するために技師2人を日本に派遣した。
ところで、この三一重工については、日本人の多くがまったく予備知識をもっていないと思う。いや、中国人の多くもその存在を知らないだろう。
特殊建設機械大手メーカーとして業界内ではそれなりに知られている三一重工がはじめて一般大衆の注目を浴びたのは、例のチリ鉱山の落盤事件だった。