寺田 実は、冒頭にある、カラー口絵の写真も当日撮ったのですが、その中に、行列に並ぶ稲垣社長のご主人も写っていました。これはまったくの偶然でカメラマン自身が一番驚いていました。「身内でも並んで買う」という原則を守る「小ざさ」らしい一枚ですね。

 撮影してみて、実際の著者は、やはり品があってとてもきれいな方です。自分の信念に従って、本当に正直に生きてこられた方だと思いました。

「奇跡」の詰まった1冊

―― 見返し(カバーをめくったところの用紙)が小豆色で、表紙がベージュとまるで最中のような配色の色になっているのが粋です! これはデザイナーさんのアイデア?

寺田 この本には「謝辞にも奇跡」がいろいろあって、実は装丁の石間さんは学生時代、「小ざさ」で2年間もアルバイトをしていたんです。評判のいいカリスマ売り子さんだったんですね(笑)。ですから、この本の装丁は、石間さんの想いもたくさん詰まっています。こだわりが半端ない! ベストセラーの装丁を数々手がけていて、寝る暇もない方なのですが、夜中の1時でもアイデアがひらめくと、電話がかかってくる。数多く石間さんとお仕事させていただいていますが、こんなこと、いままでなかったんですよ(笑)。“小ざさっこ”の意地ですかね。

第一回『1坪の奇跡』(後編)<br />カバー撮影は15分1本勝負!<br />奇跡の詰まった78歳処女作はどうやって生まれたか?カバーへのこだわりはこんな所にも。表紙はもなかの「皮」を、見返しはもなかの「餡」をイメージしている。

 その後、一席を設けさせていただき、著者と石間さんが二十数年ぶりの再会をはたしたんです。石間さんが「なかなかご挨拶ができず、申し訳ありません」とおっしゃると、稲垣さんは「いいのよ、そんなこと。本当にいい仕事してくれてありがとうね。また、会えて本当にうれしいわ」と、それはそれは感動的な再会でした。

 本を読まれた方から、「この本は、クリエイター全員が一緒の想いを共有しながら、本当にみんなが好きでつくったということがひしひしと伝わってくる」と言われたのですが、それが妙にうれしかったです。

*話し出したら止まらない「寺田節」が炸裂。一冊の本をつくった話を、一冊の本になるほど語る「熱さ」にまいりました!

 次回は、『適当日記』の編集者・中鉢比呂也さんに聞きます。

 

第一回『1坪の奇跡』(後編)<br />カバー撮影は15分1本勝負!<br />奇跡の詰まった78歳処女作はどうやって生まれたか?

たった1坪で年商3億!
品数は「羊羹(1本580円)」と「もなか(1個54円)」の2品だけ!
羊羹を練り続けて半世紀以上。
「紫の一瞬の輝き」を求めて、今日も指先の神経を研ぎ澄ます。
小さな屋台から始まった、吉祥寺「小ざさ」物語。 

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寺田庸二プロフィール
 
ダイヤモンド社 書籍編集局 第二編集部 副編集長。
モットーは、技術と精神がトルネード式に絡み合う、
孫の世代まで残る書籍をつくること。
担当書籍に、
『ザ・コピーライティング』 『伝説のコピーライティング実践バイブル』
『起きていることはすべて正しい』『売れ続ける理由』など。
 【twitterID】 @yoji_terada