この春入社してきた新人はZ世代のど真ん中。仕事に対する姿勢や考え方が異なる彼らと何を話せばいいのかわからず、悩んでいる上司・先輩世代は少なくありません。実際、コミュニケーションのズレで上司世代と新人の分断が起こってしまい、せっかく入った新人が早期離職してしまったというケースもあるようです。
「仕事だから、言うべきことはしっかり言わなければ!」とストレートに伝える人もいますが、Z世代にはあまり効果的とは言えません。
そこでシリーズ世界累計259万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一さんに、新人が気持ちよく受け止められる「伝え方」を教えてもらいました。

即アウト! Z世代新入社員に一発で嫌われる伝え方とは?Photo: Adobe Stock

■Case1「勉強用の資料、読んどいて!」

勉強会をスムーズに進めるためには、資料は事前に読み込んでおいてほしいもの。のんびりしている新人には、「読んどいて!」と言いたくなりますが、Z世代に限らず勉強は基本的には嬉しいことではありません。もちろん、このように言われれば仕方なく資料に目を通すでしょうが、「面倒くさいし、口うるさい上司だなあ」と思われてしまうかもしれません。

そんなときは、このような伝え方がお勧めです。

◎「この資料を読んでおくと、仕事の効率が劇的に変わるんだ」

これは、伝え方の技術「相手の好きなこと」を使った伝え方です。新人にとって「仕事の効率が劇的に変わる」のは嬉しいことです。ビジネスパーソンとして成長できそうだと感じ、自分から資料をしっかり読み込もうと思えるでしょう。

長期的な不況下で育ってきたZ世代は、他の世代より「成長したい」という意欲が強いのが特徴。ちょっとした努力で劇的に成長できたらといいなとも思っています。その思いを想像して伝え方をちょっと工夫するだけで、自分から前向きに取り組んでくれるようになるうえに、資料の読み込みレベルもグンと上がるでしょう。

■Case2「時間を守って!」

研修やミーティングの場に、ちょいちょい遅れてくる新入社員。時間を守るのは社会人として当たり前のことであり「時間を守って!」などとガツンと言いたくもなりますが、怒られ慣れていないZ世代の中には委縮してしまう人もいるようです。あまりに強く言いすぎると「学校の先生みたいで嫌だ」「パワハラだ」と思われてしまう可能性もあります。

このケースの場合は、ぜひこのように伝えてみてください。

◎「山田さんには期待しているから言うんだけど、遅刻なんかで『仕事ができない人』って誤解されたらもったいないよ」

これは「認められたい欲」「嫌いなこと回避」という2つの伝え方の技術を使っています。人は期待されると、自分からその期待に応えたくなります。そして、仕事ができないと思われるのは、新人にとって回避したいこと。「遅刻なんかで誤解されたらもったいない」と言われると、「確かにもったいないし、損だな。これからは時間を守ろう」と思えるでしょう。「時間を守って!」と命令するよりも、遅刻をぐんと減らせるはずです。