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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

中国共産党は日米首脳会談の成果をどう見ているのか

加藤嘉一
【第95回】 2017年2月14日
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日米首脳会談直前に
電話会談を行った中国

 安倍晋三首相が米国を訪問した。ドナルド・トランプ大統領との会談に臨み、共同声明を発表した。また、エアフォースワンで共にフロリダへ赴き、ゴルフを楽しむなど、安倍首相はトランプ大統領との個人的信頼関係の構築に努めた。

 日米同盟の重要性の確認、経済貿易関係をめぐる課題、地域安全保障問題への対応などを含め、日本では多くの報道がなされているが、中国メディアもその模様を詳細に報じていた。本稿では、中国共産党が安倍首相訪米と日米首脳会談をどのような心境で眺めていたのか、というテーマを検証してみたい。

 結論から述べると、私は、このテーマに向き合う上で鍵を握る一つのファクターは“タイミング”(中国語で言うところの“時機”)であったと考えている。

 安倍首相が米国に到着し、トランプ大統領との会談に臨む直前、同大統領と中国の習近平国家主席が電話会談をした。その時の模様を、同大統領は安倍首相とともに出席した記者会見の席で次のように振り返った。

 「皆さんのほとんどがご存じのように、私は昨日、中国の国家主席と素晴らしい(電話会談での)会話をしました。とても和やかな会話でした。私たちは仲良くなろうとしているところだと思います。日本にとっても、それはとても利益になるでしょう。昨夜、私たちは様々なことを話し合い、長い電話会談になりました。私たちは話し合った内容について取り組みを進めます。私たちは、中国の様々な代表と話をしています。中国、日本、米国、そしてこの(アジア太平洋)地域の全ての国々にとって、プラスになるでしょう」(朝日新聞電子版「日米首脳、初の会談 共同記者会見の全文」から引用、2016年2月12日)

 安倍首相は隣にいたトランプ大統領のこの発言をどのような心境で聴いていたのだろうか。複雑な心境ではあったかもしれないが、不満を露わにしたり、異論を唱えるような内容ではなかったに違いない。米中両国が様々なチャネルを通じて安定的な関係を構築し、地域の繁栄と平和にコミットメントしていくことは日本の開かれた国益に資するはずである。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

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