秋田県にありながら、首都圏など全国から学生が集まる国際教養大学。授業はすべて英語、在学中に1年間の留学が義務付けられるなど、斬新な教育手法が評価されているのだ。そして、国際感覚豊かに育った学生たちが選ぶ就職先を見ると、一般的な就職人気ランキングとは少し違う顔ぶれが並ぶ。(大学通信常務取締役 安田賢治)
少子化時代にあって
定員を増やした人気ぶり
2004年、秋田に開学した新しい公立大学の国際教養大が注目を集め続けている。
国際教養大が有名になったのは、その教育内容にある。芸術から体育まで、授業はすべて英語で行われている。1年次は全員が寮生活を送り、在学中に必ず1年間の留学が義務付けられている。留学中に修得した単位は卒業単位として認められ、4年で卒業が可能だ。4年間の学びに必要な英語力は、大学独自のプログラムで鍛えられる。まさにグローバル教育の草分けといっていい。
一時、黒船来襲と言われたアメリカの大学が日本に分校を次々と開学させたが、国際教養大はミネソタ州立大学機構秋田校のキャンパス跡地に開学した。
国際教養学部にグローバル・ビジネス課程とグローバル・スタディズ課程がある単科大だ。定員は開学当初の100人から175人に増えたが、それでも少人数だ。この少子化時代に入学定員を増やすのは、それだけ人気が高い証拠でもある。今でも少人数教育を実践している。
学生は語学力だけではなく、国際的なセンスを身に付ける。また留年者が多いのも特徴で、日本にありながらアメリカの地方にある大学に似ていると言われている。グローバル化が進み、今や「大学で英語を学ぶ時代から、英語で学ぶ時代」に変わりつつある。その先取り教育を行っている。
予備校関係者は「人気は高く、24時間図書館が開いているなど、日本の大学らしくないところが評価されているのでしょう。就職もしっかりしており、将来は世界で活躍したいなど、志望が明確な受験生にはお勧めです。ただ、授業がすべて英語ですから、一定レベル以上の学力がないと、入学後苦労するのではないでしょうか」と見る。