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日本を元気にする新・経営学教室

被災地にもいる「人材マネジメント型企業変革リーダー」
そうしたリーダーこそが創発的戦略を主導する
神戸大学大学院経営学研究科教授 平野光俊

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],加登 豊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],平野光俊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],髙木晴夫
【第10回】 2011年4月11日
著者・コラム紹介バックナンバー
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 神戸大学の同僚の加登豊教授から連載執筆をバトンタッチした平野です。読者のみなさんどうぞよろしくお願いします。

「組織は戦略に従う」という
命題は常に正しいか

 わたしの専門は人材マネジメント論で「人と組織の最適な相互関係のあり方を追求する」ことをテーマとしている。

 しかし、このたび東北・関東地方を襲った大地震の破壊力を目の当たりにして、人間と組織の限界を思い知らされている。震災の惨状を伝える映像やニュースを見て、不安な避難生活を余儀なくされている方々や、大切な家族を失った方々の凄絶な体験に思いを馳せるとき、わが身の無力感に苛まれる。

 しかし、被災地の方々の復興に向けた力強い一歩が、そこかしこで始まっているという報告もある。心理学では「レジリエンス」(resilience)という考え方がある。これは困難な状況にもかかわらず、うまく適応出来る人間の力を指す。言い換えれば「折れない心」だ。復興や創造は人間の折れない心から始まる。経営も同様だろう。戦略から始まるのではなく、「経営とは人を起点とした営みである」という当たり前のことに気づかされる。

 「組織は戦略に従う」とは、アメリカの歴史学者アルフレッド・チャンドラーが打ち立てた有名な命題だが、これは戦略を組織を規定する上位概念に位置付ける。同様に、戦略的製品開発、戦略的マーケティング、戦略的SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)といった具合に、戦略をマネジメントの上位に位置づける考え方は、枚挙に暇がない。後で解説するが、戦略人事も同様である。しかし、戦略を起点とする考え方は常に正しいのだろうか。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

加登 豊(かと ゆたか) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1953年生れ。78年3月神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了、86年4月大阪府立大学経済学部助教授、94年1月神戸大学経営学部教授、99年4月神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年4月~10年3月経営学研究科長・経営学部長。『インサイト管理会計』『インサイト原価計算』『ケースブック コストマネジメント』『管理会計入門』など著書多数。

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

平野光俊(ひらの みつとし) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1980年早稲田大学商学部卒業、94年神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了、98年同大学院博士課程修了、博士(経営学)、2002年から同大学院助教授、2006年から現職。経営行動科学学会会長、日本労務学会常任理事、日本労働研究雑誌編集委員。主著に『日本型人事管理』中央経済社。


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好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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