SIMフリースマートフォンメーカーであり、MVNO(注)として格安SIMを販売する『フリーテル』。日本メーカーが撤退・縮小するなか、昨年はSIMフリースマホで1位を獲得し、直近の四半期は、販売台数が対前年比で約4.4倍の成長を記録している。設立は2012年とまだ5年目の若い会社ながら、そんな急成長を遂げた裏側には、29歳まで社会人経験を積んだことがない、異色のリーダーの存在があった。(取材・文・佐藤翔一、篠崎美緒)
日本人の年収のほぼ10%が
通信料で消えている
──御社は日本にSIMフリーが浸透する以前からこのビジネスに取り組んでいますよね。
創業した2012年以前から、近い将来「SIMフリー」がキーワードになると考えていました。そもそも、日本の携帯電話の通信料金は世界の中でも高いと言われているうえ、「SIMロック」が主体でした。いわゆるガラパゴススマホですね。スマホはもはやこれだけ私たちの生活に密着しているツールですから、もっと自由で良いと思います。
現在、日本の一人当たりの平均通信料は8000円程度と言われていますが、フリーテルであれば2000円程度に抑えることができます。一人8000円程度払っていた場合、4人家族だと年間約40万円ですから、年収の約10%が通信料で消えているわけです。通信料を抑えれば、余ったお金で旅行したり、美味しいものを食べたり、有意義に使えるじゃないですか。
──海外進出も成功していますね。
昨年、フリーテルは南米チリでスマホシェアNo.1を獲得しました。ユーザーの購入理由は圧倒的に「日本メーカーだから」なんです。「日本」がもたらす安心感はスマホ市場でも、世界に通用すると実感しています。
また、ベトナムをはじめとした東南アジアや、キャリアが端末流通を支配している中南米にも進出していて、現在約30カ国・地域でスマートフォンを販売しています。